
ポルシェらしい雰囲気を醸しだしながらも洗練されたかっこよさがある |
ドアのすぐ後ろに存在感のあるエアインテークが |
シンプルで使いやすい運転席周りのレイアウト |
ミッドシップのため、前にもトランクスペースがある |
前日までの荒れた天気が嘘のように晴れ上がった2月上旬。湘南の海がキラキラ光る海岸沿いの自動車専用道で、真っ赤なオープンカーに試乗した。ポルシェ・ボクスターSだ。
1996年にデビューしたポルシェ・ボクスターは、当初2.5リッターの6気筒水平対向エンジンを搭載していた。ポルシェといえば、エンジンを後部に搭載して後輪で駆動するRR(リアエンジン・リアドライブ)方式が標準だったが、ボクスターはエンジンを車体のほぼ中央にレイアウトするミッドシップ方式を採用していた。ミッドシップ方式は重量のあるエンジンがクルマの中心部にあることで、コーナーリングなどの運動性能に優れ、運転を楽しむスポーツカーによりふさわしいとされる。911がポルシェ伝統のスポーツカーなら、ボクスターは伝統にとらわれることなく、純粋にスポーツカーとしてふさわしい技術、方式を採用して開発されたと言えるだろう。
試乗したボクスターSは排気量が3.4リッターの水平対向DOHCエンジンを搭載。最高出力は217KW(295PS)、最大トルクは340N・mだ。ミッションは5速ティプトロニックSでATながらマニュアルのようにギアの変更ができる仕組みだ。
ボディカラーは赤。きれいな赤い車体はいかにもスポーツカーの風情を醸し出し、写真撮影に立ち会ったアサヒ・コムのスタッフから「かっこいい」の声が漏れた。正直、個人的にはポルシェの車体デザインは、個性的だがかっこいいというよりもむしろ「武骨」のイメージだったが、ボクスターSのそれはフロントマスクにポルシェ一族の雰囲気を漂わせながらも、洗練されたかっこよさがあると思う。
走り始めると、ポルシェに対して持っていた「扱いにくい」という先入観とは裏腹の乗りやすさだった。右ハンドルでATのため、ウィンカーとワイパーのレバーが左右逆なのを除けば、国産車との違和感はほとんどない。前日に雪が降った影響で、箱根ターンパイクでの試乗が禁止されていたため、コーナーが連続する道路でミッドシップらしい運動性能とやらは味わえなかったが、5速ティプトロニックSの良さはそこそこ堪能できた。
5速ティプトロニックSは、ATモードとマニュアルモードの両方で利用できる。マニュアルモードではセレクターレバーをMの位置にセットして、フォーミュラーカーのようにステアリングホイールにあるスイッチで操作する。上のボタンを押せばシフトアップ、下のボタンを押せばシフトダウンできる。オートマチックモードでも、同じように操作できる。車線変更時の追い越しの際に急加速をしてみたが、ボタン一つでほぼ瞬時に低いギアに変更できた。ATモードの場合、スイッチ操作してしばらく(資料によると8秒)が過ぎると、自動的にATモードに復帰する。天気が良かったとはいえ2月の真冬、オープンの状態で走るのは寒いかと思ったが、風の巻き込みもそれほど気にならず、エアコンの効きもあってか快適に運転できた。
2シーターのボクスターSの座席周辺にはほとんど荷物を置くためのスペースがない。座席の後ろにアタッシュケースが縦に置けそうな狭いスペースがあるだけだ。その代わりに、トランクスペースは前と後ろの両方にある。前の容量が約 150リッター、後ろは約130リッターだ。決して広いとは言えないが、乗車定員2名分の荷物を積むくらいの役目はこなせそうだ。
ボクスターSの価格は751万円。今回、別のスタッフが試乗したポルシェ911カレラSカブリオレの1545万円に比べるとほぼ半額だ。エンジンの排気量や最高出力などはやや劣るが、それでもコストパフォーマンスは抜群にいい。扱いやすくて、かっこよくて価格は半額。ポルシェファンならずとも大いに気になる1台だろう。