
丸目が復活したフロントフェイス。これぞ911 |
フラット6が収まるリア。曲線が美しい |
茶のシートとホワイトのメーターパネルがカジュアルな印象のインテリア |
ポルシェ911といえばスポーツカーの代名詞。現行911(997モデル)のカレラSカブリオレに試乗した。
ポルシェ911は1963年のデビュー以来、水平対向エンジンをリアに置いたレイアウトと個性的なデザインを受け継ぎながら、進化を続けてきた車だ。
記者もスーパーカー世代でスポーツカー好き。フェラーリやランボルギーニと同様、ポルシェににもあこがれてきたが、試乗は今回が初めてだ。チャンスがなかったわけではないが、クラッチ操作やコーナーで限界を超えた時の挙動がシビアで、素人が興味本位で乗るべき車ではないと思い込んできたからだ。
試乗車はティプトロニックSというオートマチックの右ハンドル車で、初めてポルシェに触れるには最適な車といえる。
フロントビューは、先代の996モデルで「涙目」と言われたヘッドライトが「丸目」に戻された。リアビューもタイヤが踏ん張った相変わらずのスタイルで、先代よりもポルシェらしさを増しているのがうれしい。
内装は明るい茶の本皮シートとシルバーのパーツの組み合わせがモダンな印象を与える。白いメーターパネルもカジュアルだ。リアシートはあるが、長時間乗っているのは子供でもつらいだろう。荷物置きと割り切った方が良さそうだ。
恐る恐るエンジンをかけ、駐車場から車道に出ようと、ちょっとアクセルを開けただけで、「シュバーン」という排気音とともに力強トルクがグッと車体を前方に押し出した。初めて味わうフラット6の吹け上がりは、カミソリのような鋭さだ。
海岸沿いの自動車専用道を走ってみる。アクセルを踏む右足とエンジンがつながっているかのように回転数が上げ下げする。思い通りのラインに乗せていけるステアリング、カチカチと簡単にシフトコントロールできるティプトロニックSと合わせた操作感は、まさに「人車一体」だ。自分が355馬力の鎧(よろい)を身にまとったような錯覚を覚えた。
試乗車はカブリオレだが、それを忘れるくらいボディーの剛性に不安はない。カッチリ利くブレーキも安心感がある。ほどほどのボディーサイズとオートマチックのミッションは、車庫入れなどの取り回しも楽だ。
短時間の試乗だったが、ポルシェの魅力を垣間見ることができた。年齢とともに失ってきたスポーツカーへの思いに再び火がついたようだ。これがポルシェの魔力だろうか?
「いつかはポルシェ」を実現するには、1,545万円+諸費用とメンテナンス費用、そして、もう一台の実用車と駐車スペースが必要だ。人生設計を練り直したとして、手の届く人はどれほどいるのか。