現在位置:asahi.com>愛車>イタリア発アモーレ!モトーレ!> 記事 PR情報![]() 石油高騰時代の小さな幸せ2008年04月11日 ■イタリアもつらいよ
日本では暫定税率の期限切れでガソリンが値下がりしているが、イタリアでは引き続きその高騰が問題となっている。イタリア中央統計局の発表によれば、2008年3月のレギュラーガソリン価格は前年同月比13.2%増だった。軽油に至ってはなんと20.2%のプラスという。ボクのディーゼル車も先週末に給油したが、1リッター1.335ユーロだった。円換算すると約215円である。繰り返しになりますが、軽油でですよ。結構痛い。 テレビニュースによると、スタンドの中には軽油の価格をレギュラーガソリンよりも高く設定する店まで現れたという。これに対してはさすがに「ディーゼル車が新車販売の5割超なのを知っての価格設定ではないか?」との疑念を呼んでいる。 そうした中、イタリア各地で安売りスタンドが以前にも増して新規開店するようになってきた。大手石油会社に属さないそうした店は、1リッターあたり5〜6セント安い価格が売りだ。宣伝コストをかけないかわり、口コミや消費者団体のウェブサイトなどで客を増やしている。 ■「ひのき入浴セット」はないものの ただしこうした安売りスタンドは、まだまだ店舗数が少なく、探し回って燃料を消費しては本末転倒である。したがって、近所のスタンドのほうが安上がりになる可能性は充分ある。 同時に、ボクが大手石油会社系スタンド通いをやめられない理由は、「ポイントサービス」である。 ボクが貯めている石油会社の制度は、5リットル給油で1ポイントだ。したがって現在換算レートだと1000円ちょっと入れて、ようやく1ポイントもらえることになる。 選べる景品の種類も僅か12点だ。「ひのき入浴セット」や「中尾彬盛り付け皿セット」などバラエティ豊かな日本のスタンドにおけるポイント景品からすると、少々貧弱な感じが否めない。 しかし、パスタ7点セットやパスタ鍋など、イタリア風情に溢れている。 また、自分で貯めたポイントを救急車購入基金に寄付するチャリティコースもある。 だがなにより、子供時代から地元商店街で○○チップの類をせっせと台紙に貼るのを趣味としてきたボクとしては、イタリアに来てもつい「はまって」しまうのだ。石油高騰時代の小さな幸せである。 ■景品9カ月待ち 昨年3月のことだ。まもなく期限切れになるポイントを景品に換えることにした。 女房に聞くと、「料理用ハンドブレンダー(混ぜ・つぶし器)が良い」と言う。ボクとしては腕時計が欲しかったが、泣く子と女房には勝てぬ。同意した。 さっそくスタンドのおじさんのところに行って、注文する。 ハンドブレンダーの交換ポイントは250ポイントである。計算すると、ざっと20数万円分の燃料と引き換えだ。 ボクの複雑な表情を察したのだろう。おじさんと一緒に働いているおばさんが「ものによっては、ディスカウントセンターで買ったほうが安いときもあるのよ」と種明かししてくれた。 ハンドブレンダーがやって来るのは、約ひと月後らしい。イタリアで言う「ひと月」は「3カ月」であることは、在住12年で身についた教訓である。 とりあえず、その日は引き換え券をもらって、家に戻った。 3カ月後の6月、ふたたびガソリンスタンドを訪ねると「まだ来ない」と言う。本部が送ってきてくれないのだそうだ。 夏に入ってもう一度行くと、今度は「夏休み後だな」と言われた。 イタリアで8月は「mese morto(死んだ月)」なのだ。 ところが9月になっても来ない。その頃になると、おじさんもボクの顔を見ると、反射的に「まだだよ」と言うようになっていた。 結局ハンドブレンダーが届いたのは、クリスマス直前だった。 ボクが持って帰ろうとすると、おじさんは「はい、6ユーロね」と言った。 イタリアのスタンドにおける景品交換は、多くの品でポイント+現金なのである。 景品のために千円弱を別に払わなければならないとは。以前も同じ決まりだったのを、すっかり忘れていた。 苦節9カ月。イタリアではスタンドの景品交換もスローなのである。 ■ファントム妻 幸い女房はハンドブレンダーを大変喜んだ。その証拠に、持ち帰った日以来、我が家の食卓には「○○のピューレ」「××のスープ」といった歯を使わなくてよいような料理がひたすら続いた。 ところがやがて、気がつけばハンドブレンダーは戸棚に眠っていた。 他のスタンドで決して給油しないよう心を鬼にしてポイントを貯め、半年以上かけて景品を催促したボクである。女房の飽きの早さに、腑に落ちないものを感じた。 見回せば、同様に女房の要望によりもらってきた体重計も風呂場の横で埃を被っている。 ボクは女房を呼び、「今日から健康管理のためにお互い体重を計ろう」と提案し、グラフにすべく壁に方眼紙を貼り付けた。 だが女房いわく、自分の体重は非公開だという。どうやらボクより重いらしい。 その昔ロールス・ロイスは、EU統一性能表示が義務付けられるまで、たとえ最高級モデルのファントムであろうと性能は未公表だった。問い合わせても「sufficient(充分)」としか答えてくれなかったという。 その日からボクは女房を「ファントム妻」と呼ぶようにしたが、ご本人はといえば、体重計に乗りながら次のポイント景品をカタログで物色している。 プロフィール
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