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滑っても、車が自分で立ち直る横滑り防止装置(ESC) 1
■体験試乗してみた!
1月末、長野県女神湖でESCを体験する試乗会が開催されました。女神湖は、冬には20〜30センチの厚さの氷で湖全面が覆われます。車が乗っても割れないほど分厚い氷が張ることから、雪上や氷上での走行テストや、雪上ドライビングスクールなどが頻繁に行われています。ちなみに当日の路面状況は、氷の上に新たな雪が降り積もり少し解けた、かなり滑りやすい状態です。 ESCが効果的なシーンは、氷上のほか、乾いたアスファルトの路面で急ハンドルを切ったときや、未舗装路、ぬかるみ、濡れた路面など、日常的に多くあります。 今回の体験試乗には、トヨタ・ラウム、マツダ・アクセラ、ルノー新型メガーヌ、VWニュービートルなど、さまざまな国籍、メーカーのものが用意されました。中には同グレードの同車種で、ESC装着車と、ABSだけの非装着車で比較ができるものもありました。実際に、非常に滑りやすい路面を走った場合、ESCはどのように働き、危険な状態から車両の動きをコントロールしてくれるのでしょう?
ESCの効果がテキメンにわかったのは、やはり、カーブ道でした。時速30〜40キロでカーブに入ってゆくと、「あ、滑り始めたな」と思った直後から制御が始まります。ブレーキがかかってるなあ、という感覚。そして、ガガガガー、とABSが効くときのような音がして、車両の動きがコントロールされ、ドライバーがハンドルを切って正しい方向へ進みやすくするわけです。 この場合、アクセルペダルは踏まなくても、エンジンのパワー(トルク)は最適に配分されてタイヤに伝えられるため、ドライバーはアクセル操作も不要。もしアクセルを踏む場合は、強弱をつけず一定の力で踏むのが良いようです。もちろん、ブレーキもESCにお任せなので、ドライバーはハンドル操作に集中できます。 ★このすごい音は何?ESCが効きはじめると、ほぼ、どの車も作動音がしました。音の大きさや聞こえ方は車によって違いますが、金属がすりあうような低い音だったり、ウォーンというモーターのような音だったり……。これらは簡単に言うと、ブレーキ液を吸いあげる音だそうです。ちなみに、マツダのアクセラは、ドライバーがびっくりするような大きな音で、ラウムやビートルは比較的静かでした。この音をどうするかは今後の課題ということです。ある程度の音がすることは、ドライバーに緊張感を与え、逆に作動しているという安心感も与えるでしょう。しかし、車の運転に不慣れで、ESCのシステムも、また装着してあるかどうかも知らないようなドライバーがいきなりこの音をきくと、びっくりして固まってしまう、もしくはパニックに?……なんて心配もしてしまうのでした。
ESC装着車にもいろいろあって、ESCの働きをドライバーが手動でオン・オフできるもの、スイッチはついておらず常にESCが働くように設定されたものもあります。これらの違いは何を意味しているのでしょう? 例えばトヨタ車の場合は、切り替えスイッチがありません。ESCは安全装置ゆえ、ついていてしかるべきもの、つまり、ドライバーの運転の楽しみのために、作動をオフにすることなどもってのほか!ということのようです。トヨタは2005年までの全車標準装備を進めています。 一方、一足先に99年から全車標準装備となっているメルセデス車には、スマートをのぞく全車に切り替えスイッチがあります。これは、ドライバーの意思でオン・オフを選べるようにしているわけです。そのかわり、オフにしたときは、オフ状態を示すインジケーター(警告灯)がつきます。考え方としては、オン・オフができるメルセデスも、作動オン状態が当たり前で、切ったときには警告、ということなのでしょう。 ★効くタイミングに違いがあるのはなぜ?試乗して感じたことは、ESCが効き始めるタイミングに、車種ごとの若干の差があることです。もちろん、ESCのメーカーや車種によって微妙に仕組みも違いますが、それ以外の人為的な?理由として、実は「味付け」している部分があるとのことでした。つまり、ESCが効き始めるタイミングを、スポーティな車では遅めに、ファミリーカーや女性ユーザーの多いコンパクトカーなどでは早めにしています。スポーティな車に関しては、ドライバーが操作する楽しみを少し残している、ということなのです。
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