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 フォード・フィエスタ

 完成度の高いコンパクトカー、でも個性は?

フィエスタ

 4月に発売されたフォード・フィエスタは、日本初登場となる欧州フォード製の小型車です。すでにヨーロッパを中心とした市場では76年のデビュー以来、1000万台以上の販売実績があり、四半世紀以上にわたって、激戦区の小型車市場でベストセラーコンパクトの名を欲しいままにしてきました。

 今回紹介するフィエスタは、2002年登場の4代目。モンデオやフォーカスと同様、しっかり「欧州フォード顔」になっています。車名のフィエスタとは、「祝祭」という意味です。日本で販売されるモデルは5ドアハッチバックのみで、グレードはベーシックモデルの「GLX」(税込価格177万9750円)、サイドカーテンエアバッグやアルミホイールなどが標準装備された上級モデル「GHIA」(同195万8250円)の2種です。いずれも最大トルク14.9kg-m,最高出力100psを発生する、オールアルミ製1.6リッター直列4気筒DOHCデュラテック16バルブエンジンを搭載した4速AT車です。

 フォードというと、アメリカの自動車メーカーというイメージが強いのですが、日本で販売されているフォード車には、米国フォード車と欧州フォード車の2種類があるのはご存知でしょうか?この2車は、開発している場所も違いますし、ターゲットとしている国もまったく違います。ゆえに、顔つきもキャラクターも、同じ形の「FORD」のバッチをつけていても、まるで異なるメーカーの車に思えるほどに違いがあります。個人的には、欧州フォード車は別のブランド名をつけたほうがいいんじゃないかと思ったりします。欧州では高い評価を得ている良質な車であっても、日本ではキャラクターが浸透していないせいか、いずれもいまひとつぱっとしない、そんな欧州フォード製の車が不憫に思えてしまうのでした。

フィエスタ
★母の目数字チェック

1.奥行き68×幅100センチ 容量284リットルの広い荷室

 荷室の広さは奥行きが68センチ、横幅は狭いところでも100センチあります。リアサスペンションをコンパクトな設計にしたことで、内部もフラットで効率よく荷物を積むことができます。幅100センチならほとんどのベビーカーは、余裕で横積みができるでしょう。5名乗車の状態でも、284リットル(平均的な家庭用風呂オケくらいの大きさ)の容量があります。

2.ドアサイズは71×100センチ
フィエスタ

 後席のドアはかなり大きめです。最大開口角度も75度前後と、輸入コンパクトカーの中ではなかなか優秀な数字。チャイルドシートの脱着はもちろん、子供を抱っこしてシートにのせたりおろしたりも、楽チンです。ただし、大人が座る場合には優れたデザインと機能性を発揮するヘッドレストですが、おそらくほとんどの日本製チャイルドシートは、このヘッドレストを上にあげないとシートバックにフィットしないでしょう。まあ、それほど面倒な作業でありませんが…。このスリムなヘッドレストは、リアシートをたたむ時にも、取り外す必要がなく、たたんでフラットな荷室を作ることが可能です。

 また、天地が100センチというサイズなら、4歳児ごろまでの子供は背をかがめず後部座席へ乗り込めます。シート位置も適度な高さなので自力でチャイルドシートに座ってくれたら母親も楽ですね。

フィエスタ
3.最小回転半径4.9メートル

 日本車のコンパクトカーとして考えれば、平均的な数字なのですが、小回り性能が軽視されがちな輸入車としては、4.9メートルというのはなかなか優秀。4メートル未満という短めの全長もあって、交差点でのUターンにもストレスを感じません。

4.後席シート幅は軽ワゴンより小さめ?の1190ミリ

 限界までタイヤを4隅に寄せて、大人5名が快適に移動できる居住空間を確保したというフィエスタですが、後席のシート幅は1190ミリと、意外に控えめな数字です。軽自動車のワゴンタイプでも平均で1200ミリ以上あるので、この数字だけを見ると、なんて狭い車なんだろう!なんて思ってしまいます。が、確かにシート幅(座面部分)は小さめでも、座った感じは数字ほど窮屈ではありません。というのも、シートやヘッドレストまた後部ドア内側のデザインが、非常に良く考えられていて、シートベルトを締めた状態でも、体を自由に動かしやすいのです。

★子連れママのための快適度は?

 フィエスタのターゲットカスタマーは、精神的に豊かなヨーロッパのライフスタイルを志向し、ものを選ぶことに対してしっかりとした意思を持つ「25〜34歳の独身女性」となっています。しかし、おしゃれなスタイルで、使いやすく安全性の高いコンパクトカーは、子連れママにこそ必要な車。実際、もっとも車を必要とし、毎日のように運転しているのは、独身OLよりも子連れママのほうが圧倒的に多いのです。小さな子供がいるママにとっての、フィエスタの使い勝手とはいかがなものでしょう?

フィエスタ
1.広大なフロントガラス

 まず乗ってすぐに気づくのは、非常に見切りのいい車だということです。ボンネットの左右両端も良く見えるので、車両感覚がとてもつかみやすく、運転に不慣れなママでも安心感があります。ライバルに位置づけられるプジョー206などは、ボンネットの両端が落ち込んでいて、車両感覚がいまひとつつかみにくい印象です。また、とにかく広いフロントガラスに感動します。信号待ちで一番前に並んでも、背伸びして首を伸ばして見上げる必要はありません。自然な姿勢で頭上の信号はちゃんと視界に入ってきます。ドアミラーのサイズやデザイン、色も前方確認のための視野に干渉しないよう、よく考えられています。

2.シートリフター標準装備

 コンパクトカーでは、意外に標準装備の少ないシートリフター。チルトステアリングは装備されていても、運転席の高さ調整までは、というのが実情です。でも、小柄な女性にとってはシートリフターはぜひとも備えて欲しい装備。たとえば前方視界を安全に確保するための正しい運転姿勢が取れるだけではありません。バックで見えにくい場所を確認しながら駐車する場合などにも、シートリフターを少しあげると、とても便利なのです。フィエスタのシートリフターは手を伸ばせば自然に操作できる座面前方にあり、大型のレバー式で使いやすいのも良いです。

フィエスタ
3.「6ライトスタイル」

 全長4メートル未満のコンパクトなボディながら、リアクォーターウィンドウ(運転席から見て斜め後方にある小さな窓のこと)を備える、6ライトスタイルを採用しています。このおかげで室内は明るく、後ろの確認がとてもしやすいのです。ベージュ系の内装となるGHIAではとくに、南向きリビングルームのような明るく気持ちの良い雰囲気です。チャイルドシートに座る子供にとっても、明るく、外が良く見える車は嬉しいもの。ハンドルを握るお母さんが運転席から後ろを振り返っても、子供の顔が確認しやすく、安心感があります。

★乗った感じは??

 明るく、画期的なまでに視界が広い室内がとても印象的です。「コマンドポスト」ポジションと名づけられたちょっと高めの運転席も女性ドライバーにとって、気持ちのよい運転ができるでしょう。走り始めてまず感じるのは、ボディのしっかり感です。フィエスタの試乗会では、ライバル車に位置づけられる欧州製コンパクトカーが比較のために用意されていましたが、乗り比べてみるとその違いがよくわかりました。パイロンの間をすり抜けて走る、スラローム走行でも、フィエスタの足回りはしっかり踏ん張り、安定感があります。ブレーキの利きも非常によく、あ!っと思って急ブレーキを踏んでも、タイヤ4つがしっかりボデーを受け止め、面で止まる感覚です。非常に信頼感のあるブレーキです。

フィエスタ

 スタイルの印象とはちょっと違って、軽快というよりは、どっしりした走り、という印象です。子供を乗せて、自信と信頼を持って移動することができそうです。

 以上、完成度はとても高い車なのですが、もう少し、明確な個性というか、その車を選ぶ、しっかりとした理由が欲しいところです。欧州フォード車は、日本の女性ドライバーにはとくにイメージが希薄です。女性ドライバーにとって車は、道具でもあり、快適な生活を送るためのパートナーでもあり、ファッションの一部でもあります。それゆえ、ある水準の安全性や環境性能が確保されていれば、カタログスペックや、運転感覚よりも、スタイルやイメージで車を選ぶ人が多いのも事実です。もちろん、フィエスタはまだ日本デビューしたばかりなので、イメージやアイデンティティはこれから作られてゆくのでしょうけれど。小型車の本場、ヨーロッパでの超人気車が、日本で正しい評価を得られるかどうか?注目したいところです。


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