現在位置:asahi.com>愛車>加藤久美子の乗ってナンボ> 記事 2007年のクルマの行方:消え行く2ドアクーペ、ますます便利になるスモールカー近年、若者向けのスポーティな2ドア車が、どんどん消えつつある、80−90年代に人気を博した、レビン、トレノ、プレリュード、シルビア、GTR、そしてNSXも、今はもう生産されていない。今年に入ってからは4月にセリカ、続いて6月にはインテグラ、そして来年7月にはMRSの生産中止も決定している。免許を取って最初に買うクルマがいきなりミニバンだということも、別に珍しくもないらしい。30−40代のパパ世代も、結局は、家族のためにミニバンやワゴンを選ぶ。子どもたちが幼稚園で描いてくるクルマの絵は、スポーツカーではなくワゴンやミニバンばかり。うちのクルマも、お友だちの家のクルマもミニバンだもの。無理もないかな。 私自身は、80年代半ばに免許を取って約20年間、さまざまなクルマを所有してきたが、振り返ってみると、10数台のクルマはすべて2ドア車だ。うち3台はオープンカーである。他には全幅も全高2mで5800ccものエンジンを積む4×4、踏み切りでは蛇行運転を余儀なくされた最低地上高60mmのクーペ、運転席以外のシートが取り外され、内張りもないダートラ車両など、およそ便利なクルマは一台もない(笑)。子供が生まれてからも5速MTの2座オープンに乗り続けてきた。もう8年にもなる。来年半ばには10万キロを超える予定だ。先進装備とは無縁の車で、キーレスエントリーすらついてない。今年春にやっと、純正のカセットからCDプレーヤーに付け替えたことが、スゴい進化に思える。 クルマは本来、道具であるので使いやすさが優先されるのは当然だ。だから、2座、2ドア、オープンカー、狭いトランク、MT・・・といった、道具として使いにくい、移動に快適じゃないクルマは淘汰されても仕方ないってことなのだろう。今も、これからも人気の中心となるのは、カッコよくて速い車よりも、楽で便利な車なのだ。たぶん。 こうして、楽なクルマは、ますます便利になる。今年登場した新型車、とくに軽自動車や小型車の快適装備は圧巻だ。ママドライバーを中心とする女性や熟年ドライバーがターゲットゆえ、とことん運転を楽にする装備が考えられるのだ。 10月に発売された10代目カローラ(セダン系)では、全車にバックモニターが標準装備となった。バックモニターといえば、車高の高い車につけるものだと思っていたが、今はそうでもないらしい。女性や高齢者など、バックが苦手なドライバーへの配慮で、全車標準装備というのがすごい。さらに、先進の自動駐車システム「インテリジェンスパーキングアシスト」もオプション設定される。これは、縦列駐車や車庫入れの際、ステアリング操作(バック時)を手伝ってくれる装置で、従来からある操作のタイミングを教えてくれるアシストではなく、専用の超音波センサーが駐車可能なスペースをカメラで認識することで、スムースに駐車を完了してくれる。 同じく10月発売の改良版ライフにも、スマートパーキングアシストという名称でオプション設定されている。しかも5万円という低価格。軽自動車にもこんな先進装備。すごい時代になったんだなあ。と、思う。が、実際に試してみると、意外に動きが遅くて、距離や傾斜など駐車可能な条件も厳しい。失敗すると最初からやり直しで何倍もの時間が掛かることもある。 縦列駐車の難しさは、テクニックもさることながら、走行しながら瞬時にたくさんの判断を強いられることにあると思う。ここだ!と決めてハザードを出す事からして結構な勇気がいる。後続車を待たせたり、車線変更させるとなると、たいていのドライバーなら強いプレッシャーを感じるだろう。重要な事は、アシストがついていても、縦列駐車としての車の動きはこれまでと変わるわけではないということ。完全自動化ではないので、ドライバーの判断力も問われるし、ブレーキ操作も必要。駐車に自信がない人には、なおさら、精神的に、物理的によほど余裕のあるときにしか使えないような気もするが? 軽自動車に目を移すと、こちらも新型車続々投入で華やかであった。ミラやekワゴンといった人気車がフルモデルチェンジを受け、8年ぶりにセルボが再登場した。ekワゴンには軽自動車初のパワースライドドアを標準装備。これも、数年前までは高級ミニバンにオプション設定されるような装備だった。11月に発売されたセルボには、キーレススタートが全車標準装備だ。これらの装備は、今後、軽自動車のスタンダードになって行くのだろう。 このようにして、安く小さくても便利なクルマはますます増殖し、カッコよくて速くても使いにくいクルマは消えてゆく。不便でも遊び心のあるクルマは、この先しばらく現れないのか・・・と思っていたら、07年2月にデリバリーが開始される究極の国産2ドアクーペ「光岡・大蛇(おろち)」があった。 全高1180ミリ、全幅2035ミリと、まさに地を這う大蛇のごとく、強いインパクトを与えるスタイルを持つこのクルマは1台1台が手作業で作られる。2007年モデル(50台)はすでに完売だという。日本で最も新しく、もっとも小さな乗用車メーカーだからこそ成しえたのであろう。ネーミングといい、スタイルといい大蛇の独自性には感動的なものがある。スペシャルティカー好きには、暗闇の中の一筋の光明といいたくなるくらいのクルマだ。 いったいどんな人が買っているのだろう。と、調べてみたら・・・。実は、すでに外国製のスーパーカーを持っている人が、大蛇のスタイルにほれ込み、加えて「市街地を楽に快適に」走るためには、やっぱり日本車が楽、ということで選んでいるケースも、少なくない、とか。 うーん。大蛇を以てしても、やっぱり「快適性や運転のしやすさ」が、評価の基準から外れることはないのだネ。 (2006/12/19)
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