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加藤久美子の乗ってナンボ

2006年、この5台 印象に残ったクルマたち


 暮れゆく2006年。今年もいろんなクルマが発表され、さまざまな話題を提供してくれました。その中で特に気になった5台について紹介しようと思います。テーマは「将来に期待したい頼もしい車たち」です。


1.メルセデス・ベンツ E320 CDI ADVANTAGE


 日本では、うるさい、振動、臭い、黒煙・・というネガティブなイメージが先行してしまうディーゼル車ですが、環境先進国のヨーロッパではガソリン車よりもディーゼル車のほうが多くの人々に支持されています。  というのも、ディーゼルエンジンはガソリンエンジンよりも、二酸化炭素の排出量が少ないからです。ヨーロッパでは古くからディーゼル乗用車の文化が根付いていたという背景もあり、自動車メーカーも数多くの良質なディーゼルエンジンを開発してきました。


 これに対して日本ではディーゼル車=トラック、ひと昔前の4×4車というイメージが定着しており、セダン型のディーゼル車など未知の世界という人も少なくないでしょう。  日本での販売が開始されたメルセデス・ベンツE320CDIは、日本人がディーゼル車に抱くイメージを、大きく覆す驚愕のセダン型ディーゼル車です。おそらく、何も知らずに乗ればほとんどのドライバーはこれがディーゼル車だとは気づかないでしょう。


 それほどまでにエンジンは静かで特有の振動もなく、においもありません。加速にダルさを感じることもなく、ガソリン車と同様にスムースで洗練されています。室内も最新のメルセデスベンツEクラスと同等の上品な高級感に満ち溢れています。


 昔ほどの差はないにしても、今も軽油はハイオクガソリンに比べるとリッターあたり30〜40円安く、また全般的にガソリン車より燃費も良いのでざっと計算すると、1回の満タンで2000円前後の差がつくことになります。長距離を乗る機会が多いドライバーにはとくに、その卓越した快適性と、お財布に優しい経済性が大きなメリットになるでしょう。


2.プジョー1007


 近年、デザインに重きをおく日本車も増えてきました。単にかっこいい、オシャレなスタイル、豊富なカラーバリエーションだけではなく、自動車メーカーそれぞれの「顔」づくりが定着してきたように思います。とくに、日産、マツダ、ホンダなどは、ほとんどの車種でエンブレムを隠してもメーカー名がわかるほど、「顔」に力を入れています。


 顔があるクルマはそのメーカーのデザインの方向性がしっかりしているという印象を与えてくれます。そこがユーザーのこだわり所でもあるので、顔がある車にはおのずと愛着を持って乗るようになります。


 今年、日本での販売が開始されたプジョー1007は斬新で可愛らしいプジョー車です。プジョー初の4ケタ車名を持つ車でもあります。新しいのだけど、それでも顔のイメージは何十年も前から続く「プジョー顔」。斬新さと伝統をとても上手に組み入れているという印象です。


 車のほうは、「どのジャンルにも属さない」というコンセプトらしく、見るからにユニークなスタイルです。プジョー初の両側電動スライドドアを採用し、狭い場所での乗り降りを可能にしています。カメレオキットなるものが用意され、簡単にインテリアのイメージチェンジができるのも楽しいアイデアです。


3.スズキMRワゴン


 ママドライバー+小さな子供という組み合わせは、もちろん今に始まった事ではないのですが、ここ数年、ママ+子供をターゲットにしたコンパクトカーや軽自動車が増えてきています。新しいモデルが出るたびに、その使い勝手や機能が良くなって来ています。男性社会の自動車メーカーでも、実際のママさんドライバーの意見をしっかり汲んで、現状を正確に把握し始めたのだなあという印象です。


 スズキMRワゴンは、またの名を「ママワゴン」という、明快なコンセプトを持った軽自動車です。日産からも「モコ」の名前で販売されています。その名の通り、小さな子供とのクルマ生活が楽しく快適になりそうな車ですが、逆に言えば、「ママ」以外は乗るのにちょっと勇気がいるかもしれません(笑)。


 助手席の背もたれが倒せて、かつリアシートが135ミリのスライド量を持っているので、後席のチャイルドシートとの位置が近く、母も子も十分な安心感が得られます。軽自動車初の装備「アッパーベント」も、地味だけど実はとても快適な装備。ダッシュボード上部にもエアコン吹出口(アッパーベント)を設けて、後方にもしっかり風を送り、車内全体を均一な環境にしてくれます。


 風が直接あたらないのでママや子供の肌の乾燥をふせぎマイルドな快適さが届くのです。収納の位置や形状も絶妙です。前席はウォークスルー可能なので、左右どちらからのドアでも乗り降りが可能です。こんな風にあげてゆくと、小さな子供を乗せて走るママに便利ということは、結局いろんな人に優しい車ということになるような気がします。


4.カローラアクシオ


 カローラといえば、日本を代表する小型車、実用車であり、毎月のように販売台数のトップに位置している人気車種です。最新モデルのカローラは、ワゴン系のスポーティグレードを「カローラフィールダー」、従来からのセダン系を「カローラアクシオ」という車名に統一して発売されました。


 注目すべきは、やはり先進装備満載のアクシオ。セダンであるにも関わらず、バックモニターが全車に標準装備されています。また、縦列駐車や車庫入れが自動でできるという、話題の「インテリジェンスパーキングアシスト」は、上級グレードに標準装備されています。


 大衆車であるカローラに、どうしてココまで?と考えてしまうのですが、実はアクシオがターゲットとしているのは、子育てが終わったあとの熟年ドライバーや、車庫入れが苦手な女性ドライバーなのです。これらの最新駐車支援装置・・・試してみました。結論から言えば「バックモニターは大変見やすく、安全確認に大変便利。さらに車の動きを予測する線も正確で判断しやすいけれど、自動で縦列駐車を任せられるようになるにはかなりの熟練が必要」ということです。


 女性ドライバーの多くが苦手としている縦列駐車ですが、たとえば、走行中に見つけた市街地のパーキングメーターで、この装置を使いこなして一発で駐車が出来る人など皆無に近いのではないかと思います。駐車スペースや、前車に並んだときの距離、速度やハンドルの位置などたくさんの詳細な条件が整わないと、自動で駐車を始めてはくれません。


 駐車を始めても、ブレーキが少しでも遅れると「速度が速すぎます」の警告が出て、また最初からやり直しなのです。とても面倒!ただ、自宅や職場の駐車場など、日常的に利用する駐車スペースであれば、感覚も把握しやすいでしょうから、便利に使えるとは思います。多くの人がもっと簡単にこれらの先進装備を使えるようになれば、万々歳なのですが。


5.三菱アイ


 今年も数多くの新型軽自動車やフルモデルチェンジした軽自動車が発売されました。軽自動車の世界は、いまや日本独自の卓越したクルマ文化ともいえるものですが、実際、今年発売された軽自動車はどれも、実用性や燃費のみならず、その快適性や安全性、優れたデザイン、遊び心に至るまで、多くの望みをかなえてくれるクルマになっています。


 その最前線に位置するのが、三菱アイではないかと思います。三菱車のイメージリーダーにもなりそうな勢いです。三菱車=もっとも大きなパジェロから一番小さなアイに移行するのも時間の問題かもしれません。


 アイの魅力は、やはりそのデザイン、ちょっと無国籍な印象すらある不思議な存在感ではないかと思います。私自身、初めてアイに試乗して、最初にウィンカーを出す際、あれ?どっちだっけ・・と一瞬、困惑しました。日本車に乗っているはずなのに、輸入車に乗っているような錯覚・・・?日本車でもない、軽自動車でもない、そんな無国籍スモールカーのイメージもアイの魅力の一つでしょう。


 ボディサイズやエンジン排気量に厳然とした制限のある軽自動車ゆえ、エクステリアもインテリアも、そのデザインや設計には想像を絶する過酷な過程があります。限られた条件の中で、よくぞココまで存在感のある車が作れたものだなあと、心底感心しました。こんなにステキな軽自動車が世に出て、さらに多くの人々の支持を得ている事実に、私はひとりのクルマ好きとして、日本のクルマ社会に明るい未来を感じています。


(2006/12/31)



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