現在位置:asahi.com>愛車>加藤久美子の乗ってナンボ> 記事 自動車工場を見学してみよう
自動車工場見学といえば、小学校のときの社会科見学で訪れた経験をお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんね。日本の小学校では現在、5年生の2学期に、社会科の授業で日本の自動車産業を勉強しています。地域は限られますが、工場見学も授業の一環として実施されているようです。 近年は、家族連れなど少人数のグループでの見学が可能な工場も増えてきました。団体での見学同様、工場が操業している平日に限られますが、幼稚園や学校に通うお子様との見学なら、春休みは絶好のチャンス。世界に誇れる日本のクルマ作りの現場を、リアルに体感できます。 各工場によって方法は違いますが、ウェブサイトで予約状況を確認しながら、申し込める工場もあります。もちろん、見学はどの工場も無料。さらに工場によっては、レアなお土産がもらえるかも。 ●日産自動車追浜工場を見学した 今回お邪魔したのは、神奈川県横須賀市にある日産自動車追浜(おっぱま)工場です。首都圏にあり、アクセスも大変良いことから、いつも多くの見学者でにぎわっている工場です。 1961年に操業が開始され、日本にある乗用車工場の中でも最古参に属しています。日本の輝かしい自動車ヒストリーを黎明(れいめい)期から作り上げてきた重要な工場なのです。追浜工場では、08年3月現在、マーチ、ティーダ、ティーダ・ラティオ、キューブ、キューブ・キュービック、ノート、ブルーバード・シルフィーの計7車種が作られています。2006年度1年間の合計では約49万3100台を生産しています。 小学1年生の息子を連れて、この追浜工場にやってきました。さすが人気の工場です。取材日当日も、千葉県南房総方面の小学生が見学にきていました。 玄関を入ると、立派なゲストホールがあります。取材時は、工場生産台数1500万台突破記念ということで、数々のレースやラリーで活躍した名車が飾ってありました。ここには工場の概要を説明する、ミニチュアの製造ラインもあります。説明を読んでいるだけでも楽しい場所です。 最初に通された部屋はとても立派な会議室。ふと見ると5メートル先の机の上には工場見学のパンフレットらしきものと、見慣れた大きさの白地に赤の小さな箱。ミニカー狂いの息子が即座に反応しました。「トミカだ……!」。近寄ってみるとやはりそうでした。工場見学をした人だけにもらえる記念品とのこと! 今回は、トミカ・スカイラインクーペでしたが、車種や内容は時期によって違うそうです。 工場見学のコースは、 ●遠い異国の地へ運ばれる日本車たち 見学コースの最初は、「追浜専用埠頭」です。ゲストホール前から専用のバスに乗り換えて、追浜工場に隣接した埠頭に向かいました。 ほどなくして埠頭に到着。そこに広がった光景は……。何千台もの真新しい日産車たちです。実に美しく、一糸乱れぬ姿で海に向かって船積みされるのを待っています。世界各国へ運ばれ、おそらくはもう二度と母国に戻ることのないクルマたちを見ていると、「頑張れー!」と声援を送りたい気持ちになりました。アメリカへは約2週間の船旅で到着します。 この埠頭からは、日本国内の遠隔地に向けても出荷されています。他の工場から運ばれてきたものとあわせて、1カ月に約8万台ものクルマが国内、国外に向けて出荷されています。 ●埠頭から組み立てラインへ 再びバスに乗って、元の場所に戻ります。これからいよいよ車両組み立てラインの見学です。まずは、ドア組み立てラインへ。工場内を進むと、面白い光景に遭遇しました。いろいろな車種のドアが、1枚ずつ、クリーニング工場の洋服のように、ぶら下がったまま回って流れてくるのです。ドア周りの作業工程では、女性スタッフも無駄のない動きで、キビキビと働いていました。 次は、コックピットモジュールの取り付けです。コックピットは大変重たいので、ロボットの力を借りながら取り付けていきます。ラインに乗って、クルマのボディーが流れてきます。ちなみに、その日の速度は1分間に3メートルでした。工場が忙しくなる日には、その速度が速まるのだそうです。 ひとつのラインで、いろいろな車種が流れて来るのが少し意外でした。さらに、これらの車種は、1台1台、仕様や装備も違うのだそうです。組み立てスタッフが各々のクルマに貼られた仕様書の記号をすばやく読み取り、必要な装備を選んで取り付けてゆくのです。もちろん、ラインは動いたままで、よどみなく作業をしていきます。 しかし、何か不具合や不明点があれば、先生のような現場の責任者の方が駆け寄り迅速に解決します。それでも間に合わない場合は、いったん、ラインを止めて点検をするのだそうです。問題発生時は、その場で完璧に解決し、高い品質を誇るクルマを生み出していくというわけです。 工場見学のコースには、実際の作業を体験できる設備がありました。トルクレンチの締め付けや、指示された部品を選んで箱に入れるといったものです。時間内にちょうどよい力で正確に締め付けているか、指示された場所に正しい部品が入っているかなどが判断されます。部品類は、すべて、実際の作業で使われているものなので、とてもリアルです。貴重な体験ができました。 ●オフラインから最終テストへ 組み立てが完成すると、車にはガソリン、オイル、冷却水などが入れられます。そして、エンジン始動。自走しながらラインを離れて、最終のテストに向かいます。 いよいよ最終テストです。走行検査、ブレーキ、メーター、ランプ類の点検や調整のほか、排出ガスの検査、高圧シャワーによる水漏れテストなど、厳しいテストが行われます。この光景は、どこかで見たことがあるような。そう! 車検のラインに似ています。 最終テストに無事合格したクルマは1台1台、スタッフによって丁寧に扱われ、自走して工場を出ていきます。見学している私たちに気づくと、みなさん笑顔で手を振ってくださいました。まさに、新しい車が生まれて初めて外の世界に飛び出してゆく感動の瞬間です。 生まれたばかりのクルマたちは、このあと、キャリアカーに載せられたり、船に載せられたりして、全国各地、世界各国のディーラーを経由して、納車を心待ちにしているユーザーの手元に届けられるのです。 私自身、工場見学は初めてではないのですが、久しぶりだったこともあり、埠頭から工場を出るシーンまで感動の連続でした。今回が初めての自動車工場見学で、将来は自動車の開発をしたいという夢を持つ息子は、さらに感動と驚きの連続だったようです。 1日に数千台の生産をする自動車工場というと、とても無機質で機械的なイメージでしたが、実際に見学してみると、良い意味でとても人間的な温かみを感じる場所でした。想像していたより、人の手や熟練したワザによる作業も多く、それでいて圧倒的に高い品質を保っているのは、さすが日本の製造業だと感心してしまいました。クルマ好きならずとも、機会があればぜひ一度、お子様を連れて見学されることをオススメします。 ■これだけは守ろう、工場見学の注意点 (1)危険防止のため、5歳未満不可など、年齢制限を設けている工場もあります。事前に確認しましょう。 ■少人数での工場見学が可能な自動車メーカーリスト トヨタ (ウェブ上で工場選択、予約が可能) 日産自動車(ウェブ上で工場選択、予約が可能) ホンダ マツダ 富士重工 (矢島工場内スバルビジターセンター) ダイハツ 三菱自動車工業 水島製作所(岡山県倉敷市) (2008/03/18)
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