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加藤久美子の乗ってナンボ

祖母・母・子のアメリカ・ドライブ(上)

いざアメリカへ

地図
地図
写真1
写真1
写真2
写真2

 6月末から7月上旬にかけて、12日間のアメリカドライブの旅を「敢行」してきました(写真1)。メンバーは、私と私の母、そして3歳の息子の3人です(写真2)。70歳代半ばを過ぎて、自力での歩行が辛く、旅先では車椅子を利用する母と、反抗期が始まったいたずら盛りの3歳児、こんなメンバーだけで、果たして海外旅行なんてできるのでしょうか? しかし、その3歳児も立派な役目を担っています。それは母(おばあちゃん)の車椅子を押すということ。空港やショッピングセンターなど、荷物や買い物カートを押す必要のある場所では、私が荷物カートを押し、子供が車椅子を押さないと移動ができません。この春位から、だいぶ上手に押せるようになったので、これならアメリカでも大丈夫かな?と思い、自動車利用によるアメリカ旅を計画したのです。毎日何かしら事件が発生する、なかなかハードで、スリリングな旅行でした。

 走ったエリアは、ロサンゼルス〜ラスベガス間とデスバレー周辺です。総走行距離は2000キロを越えました。日本からロサンゼルス周辺への旅行を予定されている方、レンタカーでのアメリカドライブ体験は、いかがでしょう? 今回、私が走ったコースもなかなかお勧めです。

 ロサンゼルスからラスベガスまでは、約300マイル(480キロ)。そのうち230マイルはラスベガスまで続くI―15(インターステートハイウェー15号)をひたすら北上する一本道(ほかに高速道路は存在しない)ですから迷うこともありません。アメリカの中でも最高レベルに整備された高速道路網に感動し、ロサンゼルスの都市部では、高層ビルを眺めながらの都会的なドライブも楽しめます。やがて広大な農場地帯、そして道路とそこを走る車以外、見渡す限り人工の建造物が一切見えなくなる荒涼とした「土漠」、その向こうに突如見えてくる、蜃気楼のようなラスベガスのホテル群。土漠を延々と数時間走って、日が暮れてからこの風景を見るとさらに感動です。

日程

 今回の日程は、世界最大のヨットハーバーがある、ロサンゼルスのマリーナ・デル・レイに3泊。その後、ラスベガスへ、そこで4泊し、再びロサンゼルスに戻って、ディズニーランドがあるアナハイムで2泊。そして、帰国前日はロサンゼルス空港そばのホテルに1泊、というものでした。ちなみに、航空会社はシンガポール航空を利用して大人1人往復44000円、ホテルはネットであれこれ検索して安くて良い部屋を確保。10泊3人分で78000円でした。

頼もしいパートナー「フォード・フリースター」
フォード・フリースター

 今回のドライブ旅行に選んだ車は、フォード・フリースターという、フォード製の最新ミニバン。日本でもミニバン=ファミリーカーという構図はすっかり定着したが、アメリカでは日本より10年くらい早い80年代後半に市民権を得た。ミニバンはアメリカの母たちに絶大な支持を得ている。フリースターの始まりは86年デビューのフォード・エアロスター。その後97年にウィンドスターと車名を変え、今回乗った04モデルから、このフリースターになった。最新モデルだけあって、ミニバンに「あったらいいな」の装備や機能が考えうる限りすべてといっていいほど、ついている。もちろんこの上なく快適で安心感がある。米国フォード車に共通する、温かで優しいアメリカ車の良さが存分に味わえる1台だ。脱着が基本のアメリカ製ミニバンでは珍しく、3列目シートが床下に収納できる。このあたりは日本製ミニバンから学んだか?

 ちなみに、93年に私が人生で初めてアメリカ本土を訪れ、ロサンゼルスからラスベガスまでを車で往復したときの車がエアロスターだった。今回のフリースターに比べると、スタイルや乗り心地、運転感覚も、かなり商用車的だったという印象であるが、ミニバンという、新しいカテゴリーの車らしく、フリースターもこの10年間で劇的な進化を遂げたことになる。

 数あるアメリカ車らしい装備の中で、もっとも感動したのはリモコンキーによる各種操作である。まずは、その感知エリアが非常に正確で広範囲だったということ。3年前、当時最新鋭の別のアメリカ製ミニバンに乗ったとき、初採用の自動ドアの反応は恐ろしく悪かった。位置を変え、角度を変え、数回リモコンのスイッチを押しても無反応、そのたびに車に一歩ずつ近づいて、ドアに手が届く場所に来てやっと反応した。だったら最初から手で開けたほうが早いというほどだった。

ロサンゼルス〜ラスベガスへ!

 マリーナ・デル・からラスベガスへ向かいました。ラスベガスまでは交通量も多いですし、休憩エリア(日本の高速道路にあるサービスエリアはなく、一度高速道路を降ります。高速の入り口周辺にガソリンスタンドやファストフード、日本で言うところのファミレスなどが集まっています)も途中のバーストゥ(Barstow)までは数カ所にあり、もちろん給油ポイントもたくさんあります。それゆえ、まあちょっと距離があるドライブ、という気楽なものでした。10年前に1度往復しているという安心感もあります。

 300マイル、480キロですから、日本で言えば東名に乗って東京から京都の手前くらいまでの距離です。フリースターであれば、ギリギリ途中給油無しで行ける距離です。

 色々なドライブガイドを見ると、ロスからラスベガスまでは、6〜7時間前後かかる、と書いてあります。結論から言うと、われわれはバーストゥのアウトレットモールで1時間半の買い物をしても、それよりも早く着きました。あまり何度も休憩をしたり、食事を取ったりしていると、私はすぐに眠くなってしまうタチなので(なんせドライバーは私一人)なるべく空腹で水分補給だけはしっかりとして走りました。

 マリーナデルレイを出たのが、お昼の12時半ごろ。満タンでガソリンを入れると、あと383マイル走行可能とインパネに表示されました。とにかく、I―15に乗れば後は1本道。わかりやすいように、まずは「I―10EAST」で、東に向かい、I―15と合流したら北上する、というルートにしました。

無機質な風景、アメリカって広い

 I―15に入ると、風景はイッキに乾ききった灼熱の土漠になります。その中を片側3〜4車線の巨大な高速道路が貫いています。みんな結構なスピードを出して整然と走っています。道路上からは、人の気配を感じる民家や納屋のようなものは、一切見えません。車がこれだけ走っていても、そこに人の気配を感じない、無機質で不思議なムードに包まれます。(写真3)

 I―15を80マイル走ると、モハベ砂漠の真ん中にあるバーストゥの街が見えてきます。地図で見ると、大きな町に思えるのですが、(他に街らしきものがないので)実際は、アウトレットショッピングセンターと、レストランやガソリンスタンドがある程度です。ここで休憩もかねて、買い物を楽しみました。驚いたことに、こんなところでも日本人旅行者の団体に遭遇。聞いてみると、ロサンゼルスからお買い物のツアーバスが出ているとのことでした。(写真4)

写真3
写真3
写真4
写真4

 バーストゥから先は、さらに荒涼としたモハベ砂漠が広がります。地図に載っているレストエリアもまばらで、次のガソリンスタンドまで100キロ以上…なんてことも当たり前の場所です。

 バーストゥの次の町はベイカー(Baker)です。町といっても、道路から見えるのはファストフードのお店とガソリンスタンドとコンビニがちらほらという感じです。その名のとおり、「焼けるように熱い」場所です。余裕があれば、ここでちょっと高速道路を降りてみてください。一般道をほんの少し走るだけで、360度の砂漠の風景が広がります。高速道路からの眺めとはまた違って、「アメリカって広い…」と素直に感動してしまいます。

 ベイカーはまた、デスバレー国立公園への入り口でもあります。ベイカーから127号線を北上し約90マイル走ると国立公園エリアに入ります。

 車は、さらにI―15を東へ。この頃には、母も子供も眠りこけていました。太陽が段々と西に傾いてきて、西日が車に入ってきます。時間は午後5時を回ったところ。砂漠の西日はきついです。こういうところでは、スモークガラスのありがたさがわかりますね。日本での真っ黒ガラスミニバンは危険と威圧感のほうが大きいと思いますが、西海岸の砂漠地域においては、これが素通しガラスだったらエアコンがついていてもかなり暑いでしょう。暑さもさることながら、日本では経験できない、すさまじく強い日差しなのです。

すばらしきフリーウェー

 アメリカの高速道路は総延長距離およそ9万キロある。日本の高速道路はおよそ6500キロ。もちろん、国土の広さが違うので、高速道路の長さも桁違いだが、アメリカの場合、9万キロのうち有料道路は6パーセントちょっと。つまりほとんどが無料だ。有料道路は東海岸に集中しているので、今回訪れたロサンゼルス周辺では一度も有料道路に遭遇しなかった。高速道路を上手に使うコツは、とにかく東西南北をしっかり把握することである。日本の道路は、上り、下りといったあいまいな?方法で向きを示すが、アメリカは一般家庭の所在地も、ストリートの名前+東西南北という風に書く。1本の道路は、東(EAST)か西(WEST)、北(NORTH)か南(SOUTH)のいずれかで方向が決まっている。基本的には東西(地図上では横)に走っている道路が、途中で南北(地図上ではタテ方向)気味に向いたとしても、あくまで東西に走る1本の道、とみなされる。10年前に、初めてアメリカのフリーウェイを走ったとき、方向音痴の私はかなり戸惑ったのだが、間違えたらまた降りて乗りなおせばいいのだ。なんたって無料!なのだから。

砂漠を突き抜ける一直線の道路10マイル

 ベイカーから約26マイル走ると、カリフォルニア州最後のレストエリアがあります。この先、さらに13マイルほど走ると、驚異の一直線道路が見えてきます。一直線なんて、アメリカの高速道路では珍しくもないように思えますが、ここは、砂漠の真ん中をドーンとまったくさえぎるものもなく、ホントに一直線の道路が10マイル続いていて、その終わりの部分(つまり10マイル先)までが見渡せる景観に圧倒されます(写真5)。

写真5
写真5

 この一直線道路の終わりがちょうど、カリフォルニア州とネバダ州の州境です。この方向の州境には何もないのですが、逆方向のネバダ→カリフォルニアには、Agriculture Inspectionなるものが存在します。これは、カリフォルニア州に他の州で入手した農作物の持ち込みがないかを検査するものらしいのですが、今回、ラスベガスからの帰り道には、検査は行われていませんでした。10年前にこの場所を通ったときには、ラスベガスで買ったオレンジを検査場で捨てた記憶があります。やはり、農業王国カリフォルニアといったところです。

 ネバダ州に入ると、ますます西日はきつくなり、あまりの暑さに子供が起きてしまいました。で、この暑さをもたらしていたものは、エアコンの故障か、私の操作ミスかわかりませんが、リアエアコンから熱風が出ていたのでした!。最初は、エアコンも効かない猛烈な暑さ、だと思ったのですが、リアエアコンを切ると途端に涼しくなりました。故障か操作ミスか、いまだに謎です。

 子供が暑い暑いと、汗だくで苦しんでいても、「ここは砂漠だからエアコン効かないのよ!」などといって、ガマンさせていた私。風量最大の熱風が出ていたら、そりゃ熱いですね。前席のエアコンからは冷たい風が出ていたので、後ろの様子はよくわからなかったのでした。そのままだったら、危なかったかも……。

写真6
写真6

 ネバダ州に入ってすぐ、まだまだ周囲は砂漠の風景ですが、ここに大きなホテルらしきものが見えてきました。これはミニベガスともいえる、プリム(Primm)という街です。カジノを有する比較的大きなゴージャス系のホテルが3軒、98年にできた立派なアウトレットモール、急勾配のジェットコースターがある遊園地などがあります。

 プリムから約40マイルで、いよいよラスベガスです。道路わきには、ホテルのショーの看板も増えてきました。うっすらと遠くにホテル群のようなものも見えます。高さ333メートルのストラトスフィアのタワーも近づいてきます。あ〜ラスベガスだよ〜。砂漠を走ってのベガス入りは久々なので、やはり感動でした。夜に着けばもっと感動的な景色を目の当たりにしたことでしょう。(写真6、夜景の写真はこんな感じ)。それにしても、やはり砂漠。やたらとのどが渇きます。ぬるくても何でも、水分なら何でも良いって感じで、母も私も子供も、水を飲みまくっていました。


子供を車内に残すことは犯罪?
写真A
写真A

 日本では、毎年、暑い時期になると必ず発生する子供を車内放置することによる死亡事故。これはもう事故というより殺人である。アメリカでは車内に子供を一人で残しているだけで「児童虐待」とみなされ、保護者は犯罪者として処罰されることもある。もちろんそのことは知っていたので、アメリカでは子供の扱いに気を使っていた。(コンビニで買い物するようなわずかな時間でも車内には残さないようにしよう、とか。)

 しかし、ラスベガスのホテルの駐車場で、部屋で待っている母を車椅子で迎えに行かねばならないことになった。子供も一緒に連れてゆこうとしたら、どうしても車内で待っているという。うーん困ったな。短時間だから、いいか、と思い、母を部屋まで迎えに行き、車椅子に乗せて戻ってきたところ、なんだか嫌な予感はしていたのだが、渡り廊下から駐車場を見ると、おぉ!駐車場にとめたフリースターの前に、自転車に乗った警備員の姿が。なんだか険しい顔つきだ。子供は車内にいる様子。あーマズイ。怒られる。おそるおそる車に近づくと、やっぱり、警備員のおばさんからスゴイ剣幕で怒られた。母が車椅子で…なんて事情など、もちろん聞く耳持たずで、怒鳴られ続けた。

 「Never,never.never! Don't leave a child in the car!!」(というようなことを言っていたのだと思う…)

 もちろん、子供は泣いたり、暑がったりすることもなく、一人静かに車内のチャイルドシートに座ってミニカーで遊んでいたのだが。それでも、わずか20分程度でもとにかく車内に残していったことは、犯罪に近いことなのである。

 ちなみに、ラスベガスでは、ペットを車内に残すこをも固く禁じている。こんな看板が駐車場のあちこちに掲げてあった(写真A)

チャイルドシートは?

 今回は普段、日本で使っているものを持って行った。着衣型のほうが場所もとらずによかったのだが、久々に出してみるとすでに小さすぎてダメ。ジュニアシートならスーツケースにかろうじて入ったので持って行った。レンタカーを利用する場合は、日本での予約時にチャイルドシートのレンタルをお願いすると対応してくれる。アメリカでは、チャイルドシートの着用が義務付けされる年齢や体格も州によってさまざまではあるが、大人のシートベルトがきちんと装着できない身長140センチ以下の子供には、必ずチャイルドシートやジュニアシートを用意するべきだろう。


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