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どちらかといえば大人しいイメージが強かったアウディだが、“シングルフレームグリル”と呼ばれる新しい顔を手に入れてからは、日本でも存在感を強めている。もともと、エレガントなスタイルにスポーティでダイナミックな性能を秘めているアウディだけに、これからが本領発揮というところだ。その勢いを示すようにアウディブースには、ワールドプレミアとなる最上級スポーツサルーンの「S8」、A4のボディに420PSの4.2リッターV8エンジンを積み込んだ「RS4」など、スポーツモデルが目白押しだ。しかし、最も注目したいのは、東京モーターショーのために用意したワールドプレミア「アウディ・シューティングブレイクコンセプト」である。 ■コンパクトスポーツの新しいスタイル“ブレイク”というと、いわゆるステーションワゴンを想像するだろうが、このアウディ・シューティングブレイクは、ステーションワゴンとは似ても似つかないスタイルを持つ。というのも、そもそもシューティングブレイクとは、スポーティなクルマに、“狩り”に行く荷物が入る程度の荷室を与えたクルマのこと。解釈はつくり手の数だけ存在するが、アウディは、コンパクトなスポーツクーペに大人4人が快適に過ごせる空間とほどほどの荷室をプラスした新しいスタイルを提案したというわけだ。全長4180mm、全幅1840mm、全高1350mmというボディサイズにもかかわらず、大胆なフォルムのおかげで圧倒的な存在感を誇っている。 ■ダイナミックなデザインはアウディの文法どおりアウディのコンパクトスポーツといえば「TT」という名が思い浮かぶが、現在のアウディのラインナップ中、唯一シングルフレームグリルを採用していないのがこのモデルだ。次期TTにもシングルフレームグリルが付くはずだが、このシューティングブレイクを見ると、たとえばフロントフェンダーとボンネットが接する部分の処理や、丸みを帯びたトランクリッドとテールランプの関係などが現行TTに酷似しているのがわかる。ということは、このシューティングブレイクは、TTのイメージを残しながら、新しいグリルを与えた次期型TTのデザインを模索するためのコンセプトカーと位置づけてよいだろう。 ■技術的な提案も盛りだくさん提案はデザインにとどまらない。“技術のアウディ”だけに数多くの革新的な技術が盛り込まれている。たとえば、走りを決定づけるサスペンションでは、走行状況に応じてダンパーの特性を瞬時に変化させる「アウディマグネティックライド」を搭載。ダンパーの特性を左右するダンパーオイルの代わりに、電磁気により粘性を制御できる“磁性流体”を用いた新しいダンパーの電子制御技術だ。他にも、高い制動力を誇るセラミックブレーキや複数のLEDを組み合わせてまとめあげたヘッドライトシステムなど、見どころは多い。コンセプトカーの技術が比較的早期に市販車に投入されるアウディだけに、この辺も要チェックである。 (文=生方聡/写真=高橋信宏)
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