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加藤久美子さんの外車試乗記

 アサコたちが参加した輸入車試乗会には、自動車記者で「愛車のじかん」のコーナー「乗ってナンボ」を担当しているフリーライター、加藤久美子さんも取材に訪れていました。日刊自動車新聞で7年間の記者生活後、自動車専門誌や一般誌などへ数々の試乗記事を執筆している加藤さんの目には、話題の新車はどう映ったでしょう?
加藤久美子さん


主要諸元(実際に試乗した車両の数値です)
エンジン形式V型6気筒DOHC
3000cc
最大出力、トルク207ps/6000rpm
28.5kgm/3750rpm
全長4660
全幅1835
全高1630
重量1790kg
乗車定員5
ミッションマニュアルモード付プロアクティブ5AT
車両本体価格500万円
AVANTIME
RENAULT(フランス)

 今回、いろいろ乗った輸入車の中で、個人的にもっとも気に入ったのがこのア ヴァンタイムです。車にはフェラーリのような「芸術品」もあるけれど、アヴァンタ イムのような「芸術品」もあるのですね。車ってこんな形しててもいいのね、こんな コトもアリなんだぁ、と、その独自性に、ただただ素直に感動させられました。

 デザインの最大の特徴は、Bピラーの存在がない広大なサイドウィンドウと巨大なサンルーフです。そしてこれまた巨大なドア(このドアはダブルヒンジで開く不思議なドアです)。

 運転席に座って、頭上のスイッチを押すと、サイドウィンドウと頭上のサンルーフが同時にぐあーっと開いてゆきます。まるで劇場の緞帳が上がってゆくかのようで、アヴァンタイムがこれから見せてくれるステージに期待感が高まります。

 アイポイントはやはり高めです。乗降性はまずまずですが、小柄な女性ではちょっとキツイかも。実はこの車は2ドアクーペというカテゴリーになっていて、巨大なドアが2枚ついていますが、開く角度は狭いです。Bピラーもなく、ドアの開口部面積自体は大きいので後席への乗り降りは見た目よりはしやすいのですが、チャイルドシートなどは装着しにくいでしょう。

 インテリアもとことんデザインされています。独創的な外観に負けていません。外側はインパクトがあるけれど、中身はフツーという車も多いのですが、アヴァンタイムは斬新な造形美を見せています。でも、抑えるところはちゃんと抑えていて、フロントシートはヒーター付きのレザーシートで、使いやすい電動リフターがついています。各スイッチ類もデザインと機能をちゃんと両立させています。彫刻的な造形のテールゲートは、90度近く大きくハネ上がり、容量530Lのバスタブのように広々したラゲッジスペースが現れます。これはシートアレンジにより最大900Lまで容量アップします。

 エンジンはトルクたっぷりの3LV6を積んでいて、箱根の山道も1800キロ近い重量ボディをぐいぐい引っ張って行きます。瞬発力のあるエンジンではないのですが、低速から高速までどんなレンジでも優雅な気分でドライブを楽しめます。エンジンノイズがもう少し静かなら、より優雅な気分に浸れるかもしれません。高速道路での安定性も抜群ですが、今回走った箱根のワインディング路では腰高で重たいボディをもてあまし気味でした。  

 アヴァンタイムは一見して強烈なインパクトを与える車です。それは周囲から見ても不思議さと楽しさの期待感を感じさせるものですが、乗ってみれば、それらは感動に変わります。広大な窓から見たきらきら光る大磯の海。とんびが優雅に舞い飛ぶ青い空。試乗会でたびたび訪れる大磯の海も特別な景色のように感じます。そして、もっといろいろな場所を走ってみたい、遠くに出かけたい、色々な道や風景をアヴァンタイムと一緒に楽しんでみたい・・・そんな気持ちになるのでした。


主要諸元(実際に試乗した車両の数値です)
エンジン形式直4DOHC16バルブ 1600cc
最大出力、トルク103ps/5750rpm 14.8kgm/4000rpm
全長4005
全幅1875
全高1670
重量1360
乗車定員6
ミッション5MT
車両本体価格249万円
MULTIPULA
FIAT(イタリア)

 最近の車というのは、日本車も含めて、量産車においては安全性も装備も品質も信頼性も一定水準を確保していて、どれを買っても間違いないけど、逆に言えばそれだけ独自性を出しにくい状況・・・という印象があります。いまや、日本のファミリーカーの主流となったミニバンなどはとくに独自性が出しにくいようで、デザインからして似たような車がごろごろしていますね。エスティマやノアなど売れまくりの車は別にして、車名だけ聞いてすぐにスタイルが思い浮かぶ車も少ないです。

 その点、このムルティプラは独自性アリアリです。これもカテゴリー的にはミニバンになるのでしょうか。まずそのボディスタイルに圧倒されます。車の上に車が載ってるみたいです。全幅は1871mmあってセルシオやSクラスよりも大きく、なんだかすっごく大きな車に見えますが実は全長は約4mで意外にコンパクト。エンジンも1600ccです。

 ドアを開けてまたびっくり。前の席にシートが3つ。実はこの車は6名乗車ですべてが独立してスライド&リクライニングをし、全席に3点式シートベルトが備わっています。

 今回はフロントシートに女性スタッフ3名で乗ってみました。私は以前、前席に3名乗れるベンチシートのアメリカ車に乗っていたことがあって、前席に友達と3人で乗ることもよくあったのですが、なぜか前に3人乗っているとそれだけで、とっても楽しいというか、オモロイ気分になります。

 ムルティプラのような、ファンキーな車ならなおさら。それに3人でも安全に、快適に乗れます。車を見てびっくり、さらに前に3人乗っててびっくり!、といった街行く人のオドロキの視線も楽しいです。走りや性能といった車の本質とは関係ないかもしれないけど、こういう楽しさも個人的には高いポイントをあげたくなります。

 全長4mだけど後席もゆったりしています。今回は後席にチャイルドシートをつけましたが、身長100cm近い子供がチャイルドシートに座って足を投げ出しても余裕がありました。ちなみに、後席はすべて取り外すこともできます。脱着も簡単で重量もそう重くないようです。

 インパネ回りは、特異な外観に比べると割とフツーです。洗練されているというよりは、ほのぼのした感じ。ハンドル位置は右ですがトランスミッションは5MTのみです。ファミリーカーとして平日は奥さまが運転するとなると、不満が出るでしょうね。

 でも、とても使いやすい位置にシフトレバーがあります。動きもクイックでシャキシャキ入ります。クラッチも軽くて、軽快な操縦感覚が楽しめます。エンジンは103馬力の1600CCのみですが、低速トルクがあるので、扱いやすいです。でも、6名乗車で山道を走るのは・・・ちょっときついかな。

 車幅はかなり広いのですが、ガラス面積がやたらと大きく、見切りがよいので、あまり大きさを感じさせません。後席のガラスが素通しなのにも好感が持てます。せっかくの眺めの良さを真っ黒なフィルムで台無しにしないで欲しいです。他の車にも威圧感を与えることはないですし、安全性の面でもフィルムなど貼らず、このまま乗ってもらいたいものです。お子様を後ろに乗せても、広い窓なら視界もよくてゴキゲンなはずです。日差しがまぶしければチャイルドシートに日よけをつけてあげましょう。

 ちなみに、窓は前後とも全開にはなりません。後ろは半分程度です。惜しい気もしますが、全部開くと体が落ちそうなほど広くなるので、まあこれはこれで安心かな?見た目以上にコーナリングもいいですし、高速安定性も抜群です。全幅が広く全長に対するホイールベースが長いので安定しているのでしょうね。






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