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アサヒ・インターネット・キャスター



松尾慈子の漫画偏愛主義 October  15, 2004
PLUTO(プルートウ)
浦沢直樹×手塚治虫  小学館 税込み600円
松尾慈子の顔写真
松尾慈子
1992年朝日新聞入社、金沢、奈良支局、整理部、学芸部などを経て、現在、名古屋本社報道センター記者。漫画好き歴は四半世紀超。
一番の好物は「80年代風の少女漫画」、漫画にかける金は年100万円に達しそうな勢いの漫画オタク。
バックナンバー エド村崎のフィルム・マニアーク


本の表紙
今回、漫画好きなら誰もが一家言あるであろう、手塚治虫と浦沢直樹を取り上げてみた。これまでは「私ごときが、大巨匠を今さら紹介しなくても良いだろう」ということで、漫画界の大御所はあえて取り上げてこなかった。しかし、「PLUTO」はさすがに紹介せずにはおれませんでしたよ。

ついに出た、ビッグコミックオリジナルで連載中の話題作第1巻。読了して、ただただ圧巻。後述する理由で私は1巻を2冊持つことになったのだが、悔いはない。

表題作は、手塚治虫「鉄腕アトム地上最大のロボット」(1964年初出)に着想を得て、浦沢直樹がリメークしたSFミステリー。スイス最強のロボット・モンブランが破壊され、同じころ、ロボット保護団体幹部の人間が殺された。2つの現場には、頭の部分に角をはやしたように見える奇妙な細工が施されていた。捜査にあたるのはロボット刑事ゲジヒト。

1巻のラストでアトムがちらっとだけ出てくるのが、たまらない。アトムを主人公でなく脇役にもってくるあたり、浦沢の腕が光る。

浦沢は「(アトム生誕の年の企画として)今、漫画はこんな風になってますよ、と漫画の創始者に対して提示できるような企画をしたい」と、インタビューで答えていた。その結果が本作だ。本作の緊張感、スピード感、そして臨場感。漫画という表現手段がここまで発達したのかと、かの手塚先生も喜ばれるに違いない。いや、若い才能にライバル心を燃やしつつも苦笑して拍手を贈るのが手塚先生かもしれない。

浦沢は言わずとしれた大傑作「MONSTER」や柔道漫画「YAWARA!」の作者。本作では、殺人を犯したロボットが登場してゲジヒトに謎をといてみせるあたりが映画「羊たちの沈黙」を連想させるが、それもご愛敬。原作にはない、現場に残されたコラージュやロボットの人間くさい生活の描写などが、物語に深みを与えている。そしてそれらがロボットたちの悲劇を際だたせる。

手塚治虫が提示した、ロボットの感情、人間らしさ。40年前の作品とは思えないほど、みずみずしい。手塚先生の手法や先見性を、浦沢は正しく継承しているように思う。とりあえず、浦沢が現在の漫画家の中でもトップに位置する1人であることに間違いない。

私は原作となった手塚治虫「鉄腕アトム地上最大のロボット」を未読だった。通常版コミックスを買った後で、どうしても原作が読みたくなり、原作が付録になっている豪華版(1800円)を改めて買った。豪華版は版も大きいし、本棚に入らないし、と思いながら。いや、悔いてないですよ、本当に。なぜなら、浦沢の話って長くなるんだもの。原作読んで、とりあえずラストが分かって安心しました。



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