asahi.com
天気  辞書  地図  サイト案内  Top30 
サイト内 WEB
コラム 社 会 スポーツ 経 済 政 治 国 際 サイエンス 文化・芸能 ENGLISH 
  >AIC  >天声人語  >日本@世界  >ポリティカにっぽん  >風考計 
     
 home >コラム >AIC   


アサヒ・インターネット・キャスター



松尾慈子の漫画偏愛主義 October  22, 2004
恋風
吉田基巳  講談社 4巻(以下続行) 本体505円
松尾慈子の顔写真
松尾慈子
1992年朝日新聞入社、金沢、奈良支局、整理部、学芸部などを経て、現在、名古屋本社報道センター記者。漫画好き歴は四半世紀超。
一番の好物は「80年代風の少女漫画」、漫画にかける金は年100万円に達しそうな勢いの漫画オタク。
バックナンバー エド村崎のフィルム・マニアーク


本の表紙
今、漫画界は空前の「妹萌え」ブームだ。美少女ゲームから派生したと思われるこのブーム。その中でも表題作はアニメにもなった人気作だ。

結婚相談所に勤める28歳の主人公・耕四郎は父と二人暮し。離婚した母のもとで暮らしていた妹・七夏(なのか)が、高校進学のために同居することに。初対面で、お互い兄妹と知らずに遊園地でデートをする。以来、同居生活の中でもお互いを異性として意識してしまい、慕ってくる七夏から逃げるように耕四郎は一人暮しをはじめる。

手編みのセーター編んでくれて、けっこう邪険に扱っても慕うのをやめなくて、と七夏があまりに男性に都合のよい女性像として描かれているのが、少々シャクだが、七夏ちゃんは確かにかわいい。作者が「自分が最高にかわいいと思える子を描こう」といっているだけはある。兄に「やっちゃうぞ」と言われた場面、高校1年にもなって意味がわからないわけないだろう、というツッコミはこの際おいておこう。耕四郎は、自意識過剰で、無駄にカッコつけるわりには最後の最後でヘタレだったりして、なんだかそこらにいそうなニイちゃんだ。でも、とりあえず妹の下着クンクンするのはやめておこうね。

相手を恋しいと思う描写が細かくて、読んでいると胸がキュンとしてしまう。兄妹というハードルを越えてもなお、この人が好きなんだ、というところにリアリティーがないと、説得力がないものね。下着クンクンを反省した耕四郎が「本当のことを知ったらおまえに嫌われちゃうだろうなあ」と憂いを含んだ表情でいったときの、七夏の反応。「なにようっ自信マンマンに好かれてるみたいな言い方しちゃって」と真っ赤になって怒ったあとで、走って耕四郎に抱きつくのだ。これをやられちゃったら、落ちない男はいないだろうよ。

振り返ってみると、古来、男性のエロネタとしては、「義理の母」がお約束だったのではないだろうか。この妹ブーム、ポイントは「女性側から慕ってくれる」「純粋」(ここを「幼い」と読み替えても可)、この2点なのではなかろうか。裏返すと、赤の他人にアプローチするだけの積極性が、男性に足りないことの現れか、とも思う。もしくは、現実の女性があまりに強く、経験豊富なために、男性が純愛幻想を抱けなくなっているのかもしれない。そして、最後に残された、恋愛幻想を抱ける汚れなき女性が、妹なのかもしれない。

加えて、表現者側の都合をいえば、恋愛におけるタブーがどんどんなくなるなかで、葛藤のある恋愛を描くには、「実の兄妹」ぐらいの障壁を作っておかねばならないのかもしれない。しかし、「妹萌え」って、他者がほとんど存在しないよな・・・。妹萌え男性のコメントとして「僕らは恋人という他人よりも家族がほしいのかもしれない」とあるのをどこかで読んだが。いま、自分の家族が完璧な円満家族でないのと同様に、「自分をどこまでも受け入れて、守ってくれる完璧な家族」なんてどこにもないはず。妹萌えはどこか「完璧な家族幻想」と似ているような気がする。通じているのは「ありのままの自分を受け入れてくれる幻想」かな。

さて、思いつくままに、兄妹、姉弟モノを書き出してみた。あだち充「みゆき」、青木琴美「僕は妹に恋をする」、北川みゆき「罪に濡れたふたり」、竹内桜「ちょこっとSister」、榛野なな恵「パンテオン」、由貴香織里「天使禁猟区」。こんなにブームになっているはずなのに、ヘテロ恋愛は私が読むメインジャンルではないので、あまり思いつきませんでしたよ・・・・。



ご意見はこちらへ・・・

Designed by TUBE graphics 


| 社会 | スポーツ | 経済 | 政治 | 国際 | サイエンス | 文化・芸能 | ENGLISH |
GoToHome ニュースの詳細は朝日新聞へどうぞ。購読の申し込みはインターネットでもできます。 GoUpToThisPage
asahi.comに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。
| 著作権 | リンク | プライバシー | 広告掲載と注意点 | アサヒ・コムから | 朝日新聞社から | 問い合わせ |
Copyright Asahi Shimbun. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission