| 松尾慈子の漫画偏愛主義 December
17, 2004 |
トッキュー!! 4巻以下続刊
原作・小森陽一、漫画・久保ミツロウ
講談社 税込み410円 |
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松尾慈子
1992年朝日新聞入社、金沢、奈良支局、整理部、学芸部などを経て、現在、名古屋本社報道センター記者。漫画好き歴は四半世紀超。
一番の好物は「80年代風の少女漫画」、漫画にかける金は年100万円に達しそうな勢いの漫画オタク。 |
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|バックナンバー|
エド村崎のフィルム・マニアーク
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「海上保安庁」と聞いて、今時の人なら映画にもなった漫画「海猿」を連想するのだろうか。年配の人なら、映画「喜びも悲しみも幾歳月」(57年)の灯台守だろうか。
タイトルは海上保安庁に実在するレスキュー専門の精鋭部隊「特殊救難隊」の略称「トッキュー」から。海上保安庁勤務の主人公・兵悟がトッキュー入りを目指す成長物語だ。
舞台は佐世保。20歳の兵悟は酒もタバコもバクチもやらず、海で死んだ父の教えそのままに、趣味は「人助け」。「絶対連れて帰ります!」がモットーの熱血青年だ。海難救助を任務とする海保は、兵悟にとっては天職ともいえる。ページの合間にはさまれている久保ミツロウの海保取材リポートや、読者の質問に対する原作者の回答などに表れている、綿密な取材と構成が、作品に力強さとリアリティーを与えている。掲載紙は少年マガジン。
3巻まではイマイチ私はノリ切れなかったが、4巻で消防士出身の石井盤が登場してがぜん面白くなった。盤がトッキューを目指すのは「自分の限界を見極めたいがため」。人助けのために自分を危険にさらす兵悟とは対称的だ。盤はカッコよくて、能力も高くて、いかにも現代っ子。目の前に要救護者がいても、自分の利益にならなければ平気で見捨てる。憤る兵悟。ライバルの登場は少年漫画に欠かせないアイテムだね! いや、もしかしたら次巻ではとっくに退場しているかもしれないが。
なぜ私が3巻までノリが悪かったか考えてみた。兵悟は直情家で、人を助けるためには上官の指揮も無視しまくり。それでも憎めないキャラ、という設定なんだけど、私にはどうにも受け入れられなかった。海難事故といった極限状態では、全体状況をみて判断できる上官の指示に従わなければ、あっという間に死人が出てしまうわ!と心でツッコんでいた。
以前紹介した「火消し屋小町」(逢坂みえこ)で上官が言っていた。「お前らは勝手に判断するな。上官の命令は絶対」それを体に覚え込ませるのが消防学校だというのだ。そうだよ、土壇場で一人一人が勝手に行動しちゃったら、統率とれないよ〜。いや、臨機応変ってのも大事だけどさ。4巻になって、ようやく兵悟も協調性の大事さが分かってきたようで、おばさんとしてはちょっと安心。
主要な舞台は船の上で、基本的に男ばかり。だからか、数少ない女性キャラの描き方がすごく平板なのが少々残念。
久保ミツロウは前作「3.3.7ビョーシ!!」で人気を得たが、私にはどうも「337」はイマイチだった。主要人物たちのホストという職業が理解不能なのと、何より主人公が「応援します!」っていうのがダメだった。人を支えるには、自分がちゃんとした人間でないとダメなんだよ〜。っていうか、主人公は予備校のために東京に来ていたから、「受験生なら勉強しろよ」ってツッコミが頭から離れなくて。
表題作は、少年漫画らしく、努力・友愛が前面に出ている。やはり基本が大事だわ、と再認識する、20世紀からの漫画読みの私であった。
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