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| 松尾慈子の漫画偏愛主義 December
31, 2004 |
毎日かあさんカニ母編
西原理恵子
毎日新聞社 880円 |
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松尾慈子
1992年朝日新聞入社、金沢、奈良支局、整理部、学芸部などを経て、現在、名古屋本社報道センター記者。漫画好き歴は四半世紀超。
一番の好物は「80年代風の少女漫画」、漫画にかける金は年100万円に達しそうな勢いの漫画オタク。 |
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|バックナンバー|
エド村崎のフィルム・マニアーク
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いわずと知れたサイバラ母さんの新聞漫画。ああ、本当はサイバラは取り上げたくなかった。サイバラってコアなファンが多く存在してそうなんだもの。何を書いても怒られる予感。でも今回書きます。だって、12月の本紙「コミック教養講座」で南信長氏が取り上げたのはサイバラの「上京ものがたり」。それって、「毎日かあさん」が毎日新聞掲載だからだよね?と思うと、つい無駄な反骨精神が発動してしまいました。
漫画家・サイバラの家族絵巻。「家庭円満マンガを描いていたら、連載中に離婚してしまいました(笑)」(本人談)。実母と同居し、1男1女を育てるサイバラママの毎日を描いている。
「女の子はうまい」と言われた通り、かわいらしさで乗り切っている長女に対し、長男はダメダメ。保育園の年長になっても全身どろまみれで遊ぶし、ひらがなも読めない。時折舞い降りる早期教育の精霊に振り回されるサイバラ。「あんたの息子が字が読めないのはどうしてだ」「私がさぼっているからだ」「なぜさぼる」「子どもにこれ以上手ぇかけてたまるか!」。そんなところに酔った(元)夫が帰宅。なぜか犬を連れている。「この上犬などを飼っては息子に字を教える時間が」と諭す精霊に、サイバラ「泣きたいのはこっちだあ!」。
毎日が一輪車に家族3人乗って全力疾走のような生活だが、サイバラ作品には、いつだって救いがある。救いようのないバカに描かれている長男だって「おしっこもらすくらい楽しいなんて 子どもの時間ってすごいなあ」。酒をやめられない夫の鴨ちゃんだって「すきだったひとをきらいになるのはむずかしいなあ」。最後には愛を捨てきれない。きっとサイバラは情の深い人なんだろう。家族をもつすべての人にお勧めです。
一方、サイバラの「リリカル」が全開なのが「上京ものがたり」(小学館)。「絵で食べていく人」になる夢を持って高知から上京した少女が主人公。その少女にはもちろん、サイバラ自身が投影されている。ほかの美大生の高い画力を目の当たりにして劣等感を感じたり、同棲中の無職の恋人をなじりつつ寂しくて別れられない自分に絶望したり。そして売れっこになって仕事ができる幸せを感じながら生きている、というところまでを描いている。「脱税どこまでできるかな?」という黒サイバラと同一人物とは思えないほどの白サイバラに出会える。
ちなみに、私の友人のコアなサイバラファンによると、「毎日かあさん」の27ページのネタで毎日新聞とケンカして、一時連載がストップしたそう。確かにちょっと危険なネタかも。今は無事連載中で、長男は「クラスの5大バカ」に成長してますます元気らしいです。ついでに「カニ母」とは、子どもに隠れて夜に1人で大好物のカニを食う母・サイバラを示す。
ところでこの本、名古屋の本屋では見つけられず、ネットで買った。どうして3日とあけずに数軒の本屋を回っている私が見つけられないのか。がんばってくれ名古屋の本屋。
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