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今週のAERA
Jホラー快進撃の秘密
仕掛け人が語る

2004年10月25日号
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日本製ホラー映画(Jホラー)が続々と海を越えている。完成前に世界公開が決まったり、ハリウッドでリメークが相次いだり。ブームを作りだしたカリスマプロデューサーが語る躍進の軌跡。
映画ジャーナリスト 中山治美


 毎年5月にフランスで開催されるカンヌ国際映画祭では各国で製作される映画の売買も盛んだ。今年、その市場を賑わせたのがJホラー。鶴田法男監督「予言」、落合正幸監督「感染」(ともに公開中)など、日本を代表する監督が手掛けたホラー6作品〈Jホラーシアター〉が、米国、英国など世界40カ国に売れた。完成前の邦画が、映画祭開始3日間でほぼ全世界での公開が決定するのは異例だ。

●「リング」の成功で注目
「カンヌ直前に、米国のライオンズ・ゲート・フィルムズとの契約が成立したのが大きかった。同社はマイケル・ムーア監督の『華氏911』も手掛けた、今、最も勢いのある映画会社。それが他社への信用につながったと思う」

 6作品を手がけた映画プロデューサー、一瀬隆重氏(43)はこう語る。最近のホラーブームのウラにこの人あり、と言われる映画人だ。もともとは「帝都物語」(88)などエンターテインメント作品を数多くつくってきた。しかし、98年に手がけたホラー映画「リング」と「らせん」が興行成績19・3億円の大ヒットとなり、一瀬氏の運命も変えた。

 その後、「リング」は、「ザ・リング」(02)としてハリウッドでリメークされ、全米で143億円の興行収入を記録。俄然、Jホラーに世界の注目が集まった。

「92、93年ごろに『リング』の企画を米国に持っていった時は、ビデオを見たら人が死ぬ話なんてハリウッドじゃ通用しないと、誰も興味を示さなかった。だから『リング』は外国の市場を念頭に置かず、日本人が見て怖いと思うモノを作った。結果的にこれが海外で評価されるきっかけとなった」

●監督も米国進出の好機
 Jホラー躍進の理由には、ハリウッドにおける“ネタ不足”もある。名作のリメークをやり尽くしたハリウッドが着目したのは、一部の映画マニアしか見ていなかったアジア映画。中でもホラーは、日本とは恐怖に対する感覚が違う米国人には斬新に映ったようだ。

「Jホラーが海外でもイケると実感したのは、清水崇監督『呪怨2』(03)のキャンペーンで、台湾や韓国を回った時。日本のホラーが一番怖いと多くの人に言われ、市場は想像より大きいと実感した。他国の作品は衝撃度は大きいけど、Jホラーはジワリと恐怖が迫ってくる。また日本でたまたま同時多発的に、ホラーのジャンルで才能ある監督や脚本家が現れたのも大きい」

 今春、一瀬氏は、清水崇監督が自身の「呪怨」をハリウッドでリメークする「The Grudge」(10月22日全米公開)のプロデューサーをサム・ライミとともに務めた。どこにでもある建売住宅を舞台にした作品で、主な撮影地は日本。「ザ・リング」で、幽霊がTVから出てくるラストシーンが、米国の住宅では広すぎて距離感があり日本版に比べ恐怖が半減したと感じたためだ。そこで日本の住宅にこだわり、キャストを日本に呼び寄せた。

 その他、「仄暗い水の底から」(02)のリメーク「ダーク・ウォター」(来春日本公開)や、「リング」の中田秀夫が監督を務める予定の「The Entity」(82年製作の米映画のリメーク)をはじめ、米国からの仕事の依頼が殺到している。日本人監督のハリウッド進出のチャンスを広げてもいるのだ。

「やっと日本映画も市場が大きくなり、ビジネスチャンスが広がってきた。でも、まだまだJホラーは海外で必ずしも劇場公開されているワケではなく、一部のマニアがビデオで観賞したり、映画関係者が着目している程度。成功するもしないも、今後の努力次第でしょう」




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