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アサヒ・インターネット・キャスター



「ニュースDrag」 November  22, 2004

カラスはクロだった

高成田の顔写真高成田 享
タカナリタ・トオル

経済部記者、ワシントン特派員、アメリカ総局長などを経て、論説委員。
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20日付の毎日新聞社会面に「カラスはクロだった」という見出しの記事が載っていた。何のことだろうと気になって、本文を読んでみると──。沖縄の波照間島で観光客の女性が自転車のかごから財布を盗まれた。通報を受けた警察官がカラスの仕業ではないかと疑って、パンの切れ端でおびき寄せたカラスの後を追ったところ、カラスがとまった木の下に財布が落ちていた。財布の中はカラスのくちばしで物色されていたが、お金は無事戻ってきた。そんな話だった。

「カラスは頭がいいと言われているが、財布の中身を調べるなんて、沖縄のカラスはたいしたものだ」
「いやいや、お金があれば、好きな食べ物が買えるのに、それができないところがカラスの限界」
「それにしても、カラスに犯人像をしぼったのは、警官のお手柄だね」
「波照間の人口は約600人とある。お巡りさんもただひとりだ。島に泥棒なんていないという自信があったから、カラスを疑ったわけで、いい島なんだと思う」
「この警察官は、愛知県出身で、沖縄の人の生活を知りたいと離島の駐在所を希望したと書いてある。カラスも警察官も島全体がほのぼのしている感じだ」

こんな会話がはずむような楽しい記事だった。この記事の発信源になったのは、19日付の琉球新報の記事だと思うが、それによると、被害者の女性は「警察や民宿の人にずいぶんお世話になった。カラスも私がお金がないと思い、財布を返したのでしょう」と話しているとあった。「ほのぼの」のなかに、この女性もいれてあげたい。
琉球新報の記事は以下に。
http://www.ryukyushimpo.co.jp/news01/2004/2004_11/041119o.html

波照間島といえば、最近、同じ沖縄の先島諸島にある与那国島の「特産物」についての話を聞いた。沖縄本島の金武町で「黒長寿」というもろみ酢をつくっている豊川あさみさんが東京に来られたときにうかがったもので、この島でとれる「古代琉球化石サンゴ」がミネラル分が豊富な健康食品として注目されているということだった。

「与那国の特産ということで、これが離島振興につながらないか」というのが豊川さんの発想。「古代サンゴの化石を食べちゃっていいの?」と、私は健康よりも自然環境を心配したが、「量は豊富で大丈夫」とのこと。いろいろな人々とのつながりのなかで、新しいビジネスのアイデアを考えている豊川さんのことだから、そのうち、「古代琉球化石サンゴ」を核にした面白い企画がでてくるかもしれない。

もろみ酢は、豊川さんの「本業」である泡盛を醸造するときに使う黒麹(くろこうじ)から作るお酢で、クエン酸が豊富な健康食品として、いまや沖縄の特産品になりつつある。最近、豊川さんが手がけているのは、このもろみ酢ににがりをいれた「にがりもろみ酢」だそうで、これも人気商品になりそうだと、話を聞いているだけで元気になるのが楽しい。

豊川さんにお目にかかったのは8年前、沖縄の経済人である共通の友人を介してで、金武町の鍾乳洞には、金武酒造の泡盛を保存した。それ以来、「基地と安保」とは、コインの裏と表のような沖縄の経済につながるビジネスの話をいつも聞かせていただいている。

ほのぼのと、そして元気の出る沖縄の話をしようと思うのだが、それだけでは終わらずに重苦しい話が離れないのが沖縄だ。中国の原子力潜水艦による日本の領海侵犯事件が起きたのは、先島諸島のなかの石垣島付近の海域。中国側が遺憾の意を表明したことで、事件そのものは決着したが、日中間の紛争の火種はいくつも残っている。

尖閣諸島の領土問題、中国によるガス田開発、そして、中台紛争が起きたときの米中対決などで、いずれも中国の潜水艦が沖縄付近で示威行動や探査行動をする可能性は十分にある。もちろん技術的なミスかもしれないし、政治を無視した軍部の暴走だった可能性も否定できない。

そして、米軍の再編成と沖縄の基地問題だ。「カラスはクロだった」を報じた同じ日の毎日新聞の1面トップは、米政府が普天間基地の移転問題で嘉手納基地への統合を「再提案」したという記事だ。

私の持論は、住宅地のど真ん中にある普天間基地を一刻も早く撤去するためには、嘉手納にとりあえず統合させるとともに、沖縄の負担を軽減させる方向で、日米政府が普天間の海兵隊の機能や役割をどうするか考えるべきだ、というものだが、嘉手納統合でかかる沖縄のさらなる負担増を考えると、とても力説するほどの自信はない。

高齢化社会の道を進む日本の社会では、ますます健康への指向は高まる一方、冷戦構造を残した東アジアの紛争危険度も高まっている。となれば、沖縄への注目度も、さらに高まっていくことだろう。



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