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アサヒ・インターネット・キャスター



「ニュースDrag」 December  06, 2004

鳥インフルエンザの恐怖

高成田の顔写真高成田 享
タカナリタ・トオル

経済部記者、ワシントン特派員、アメリカ総局長などを経て、論説委員。
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冬はインフルエンザの季節。鳥インフルエンザ騒動は昨年のことだと思っていたら、本当の恐怖は近未来にあるようだ。11月30日付のインターナショナル・ヘラルド・トリビューン・アサヒ紙(IHT)によると、WHO(世界保健機構)の尾身茂・西太平洋地域事務局長が記者会見で、鳥インフルエンザの「パンデミック」(世界的流行)は、「非常にありうること」と語り、流行した場合、その死者は「少なくとも2百万から7百万、たぶん、それよりも多く2千万から5千万、最悪の場合は1億人」と予測したという。
http://www.iht.com/bin/print_ipub.php?file=/articles/2004/11/29/news/flu.html

この会見は、WHOの呼びかけによってバンコクで開かれたASEAN(東南諸国連合)10カ国と日本・中国・韓国の3各国との鳥インフルエンザに関する会議を受けたもの。WHOのプレスリリースによると、会議では、「鳥インフルエンザのウイルスは現在、9カ国で発生しているが、依然として撲滅できず、遺伝私的な変化をとげているとみられる。その結果、ヒトの間で伝染し、パンデミックを起こすおそれがある」ということが伝えられたという。
http://www.wpro.who.int/public/press_release/press_view.asp?id=468

WHOによると、鳥インフルエンザのヒトへの感染例はこれまでのところ44例、死者は32人で、死亡率は70%を超える。1例だけがヒトからヒトへの疑いがあるものの、残るすべては鳥からヒトへの感染だという。この範囲であれば、大流行はしないが、尾身氏が懸念しているのは、ウイルスが進化して、ヒトからヒトへのウイルスが登場した場合で、そうなると、空気感染ということもあり、「パンデミック」になる可能性が高いのだという。

厚生労働省のホームページから、国立感染症研究所・感染症情報センターの「鳥インフルエンザに関するQ&A」を読んだら、「現在のところ鳥インフルエンザそのものに有効な、ヒトのワクチンはありません。世界中で研究、開発が行われています。集団発生が起こっている時期に、病鳥との不要な接触を避けることが唯一の予防法と言えます」とあった。それでは、いま使われているインフルエンザワクチンはという質問に対しては、「ヒトの間で流行しているA/ソ連型、A/香港型、およびB型に対して効果のあるものであって、H5亜型やH7亜型などの鳥インフルエンザに対しては効果がありません」。

要するに、ヒトからヒトへのウイルスが登場すると、とんでもないことになるということだが、どうなると、そういうウイルスが生まれるか。上記の「Q&A」によると、ヒトのインフルエンザにかかっている人が、鳥インフルエンザにかかると、その人の体内で2種類のインフルエンザのDNAが「再集合」を起こして、両方の機能のDNAを持つウイルスができる可能性があるのだという。
http://idsc.nih.go.jp/disease/avian_influenza/QA040401.html

なるほどウイルスは、こうやって進化していくのかと感心すると同時に、ヒトインフルエンザにかかっている人が鳥インフルエンザにかかるというのは、いかにも起こりそうなことで、そうなると「パンデミック」もありそうなことだと合点がいった。上記のIHTによると、最近の鳥インフルエンザのなかには、鳥類に発病させないで生きているウイルスもいて、発見が難しいので、そういう鳥から人が感染する可能性も高いという。「パンデミック」から5、6カ月後には、ワクチンの生産が可能になるだろうが、とても世界の人口分まで生産することはできないし、ワクチンが大流行を防ぐことにはならないと警告している。

インフルエンザの流行は古代からあったようで、近年では、1918年に始まった「スペインかぜ」が有名。死亡者数は全世界で2千万とも4千万ともいわれ、日本でも約40万人の犠牲者が出たと推定されている。その後、57年には「アジアかぜ」、68年には「香港かぜ」と呼ばれるインフルエンザが世界的な大流行を起こした。大流行は、ほぼ30年周期で起きているとのことだ。「香港かぜ」以降、大流行がなかったので、鳥インフルエンザがそうなる可能性が高いと推測する学者もいるという。

鳥類でインフルエンザが見つかったら、初期の段階で、鳥を処分し、鳥からヒトへの道を断つ。もし、ヒトからヒトへのインフルエンザが流行する兆しが出てきたら、これも初期の段階で、隔離を徹底して、おさまるのを待つ。それでも流行の気配が出てくれば、隔離の範囲を広げる。それでもだめなら、流行地域に住む人々の就業、就学、さらには交通など人間の外での活動を停止して、おさまるのを待つ。各国の政府、各国内の行政機関が準備すべき対応策だろう。

そんなことにならないように、祈るだけである。



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