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| 「ニュースDrag」 December
27, 2004 |
レジーム・チェンジと北朝鮮
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2004年の最後を北朝鮮による拉致問題で締めくくるのは、「憂鬱な年」であったこの年を象徴するようで気が重い。とはいえ、北朝鮮が11月の実務者協議で提示した拉致問題に関する資料は、北朝鮮のこれまでの説明を裏付けるどころか、疑問を広げるものばかりであることがわかった。これでは、日本国内から「経済制裁」の声が高まるのは当然だろう。
小泉首相が02年9月に訪朝したことで、北朝鮮側は初めて日本人の拉致を認め、金正日総書記は首相に謝罪した。5人の生存は確認されたものの、8人死亡という説明はいかにも不自然という印象だった。北朝鮮という異常な政治体制を考えれば、そういうこともありうるのかという気持ちもしたが、その後の北朝鮮側の説明のでたらめさをみると、むしろ生存していると考えるのが合理的に思えてきた。
帰国できた人たちは、国家にとって致命的な秘密(たとえば大韓航空機爆破事件の犯人に接触した)を握っていないか、金正日総書記から離れた組織にいて、「一部の妄動分子の行動」で拉致を説明できる人だったのではないか。逆にいえば、金正日総書記に近い組織に属していて、金正日総書記にも拉致の責任が及ぶような人たちは、何度説明を求めても、「死亡」以外の答えは出てこないのではないか。そう考えるほうが自然のように思えてきた。
当初、拉致被害者は、拉致という事実は別にしても、相当に悲惨な生活を強いられていると、私は考えていた。ところが、伝えられる情報は、北朝鮮の国家機関での日本語教育の場に置かれた人たちが多いようで、そういう人たちは北朝鮮の国家秘密を目にする機会が多かったに違いない。
そうなると、これまで日本政府がとってきた拉致問題に対する方策は、根本的な見直しを迫られることになる。日朝間の国交を正常化し、お互いの門戸を開いたうえで、拉致被害者を救出する、という戦略だ。拉致された人々が重要な国家機密を握っていれば、どんなに国交が正常化しても、解放される可能性は低い。
拉致問題を考えれば、根本的に解決するには、金正日体制を壊す以外に道はない、ということになる。イラク戦争前に、米国の新保守主義者(ネオコン)が「フセイン政権を倒す以外に方法はない」という意味で使っていた言葉で言えば、「レジーム・チェンジ」である。文字通り訳せば、「体制の変化」だが、フセイン政権などについていえば、「体制の打倒」だろう。
いま日本が検討している「経済制裁」も、北朝鮮に致命的な影響をもたらすものでなければ、相手は譲らないだろう。あるいは、相手が譲らないのなら、「体制の打倒」につながるようなものでなければ、被害者の奪還は難しいということになる。
経済制裁の内容は、援助、貿易、金融取引、人物往来の停止などで、要するに、ひと、もの、かねの流れを止めるということだ。しかし、相手国への外貨収入という意味で重要な日本の北朝鮮からの輸入額は昨年201億円で、中国や韓国よりも少ない。これが止まれば、北朝鮮にとって痛手だろうが、相手の息の根を止めるような規模ではない。日本からの送金の停止も、相手への影響は大きいが、決定的とはいえない。
また、経済制裁を発動する前に考えなければならないのは、発動によって、いま北朝鮮問題を解決するために動いている「6者協議」という国際的な枠組みの少なくとも一角が崩れることだ。日本の発動後に、北朝鮮が日本を含めた6者協議に参加する可能性は少ないから、北朝鮮が協議から離脱するか、日本抜きの5者協議になるかである。
結局、経済制裁を発動するのなら、中国や韓国、ロシアを引き入れなければ効果は期待できないし、それは6者協議の崩壊を意味する。ということは、6者協議に核問題などと並んで拉致問題を組み入れるしかない。つまり、小泉首相がしなければならないのは、中、米、露、韓の各国を回り、拉致問題の解決を6者協議の目標に含めるように説得することだ。6者協議で、核問題や拉致問題の解決、その見返りに経済支援のパッケージを作り、いやなら国際的な経済制裁だと迫ることだ。
小泉首相が北朝鮮問題を最優先課題とするのなら、対中国外交も今のやり方ではだめだ。北朝鮮を追いつめるには、中国とロシアを北朝鮮から引き離す必要があり、それを進めるのが外交であり、「おれ流」を通すことは戦略とはいえない。
来年は、北朝鮮を見据えた対中、対露の戦略的な外交を進めてもらいたいものだ。それができれば、「経済制裁」の実効があがることになり、発動する価値がでてくるだろう。
年末から年始にかけては、何かと家族が集う時期でもある。拉致被害家族のことを考えると、一刻も早く生存している人たちを救出してあげたい。「経済制裁」を使える外交的な環境を早く整えなければならない。
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