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アサヒ・インターネット・キャスター



「地図一途」 December  30, 2004
酉年を前に砂嘴の地図

野々村氏の顔写真野々村 邦夫
ノノムラ・クニオ

30年余の公務員生活の大半は測量と地図に関係。99年、国土地理院長を最後に退官。広島工業大学教授などを経て現在財団法人日本地図センター理事長。仕事柄、旅する機会が多く、駅弁と地酒に造詣が深い、ハズ。


絵・宇田川のり子
バックナンバー 岩城元の「ハルピン発なんのこっちゃ」


間もなく申年が去り、酉年がやってくる。そうなると年賀状のほうも、酉、鶏、鳥で賑やかになるだろう。私の友人には地図好きが多いので、干支にちなんだ地図を利用した年賀状もいくつか来る。酉年なら例えば、鳥海山(秋田県南部の名峰)付近の地形図を挿絵にした年賀状という具合である(実際にそんな年賀状が来るかどうかは分からないが)。

前の前の酉年のとき私は、国土地理院で地図のディジタル化技術を開発する部署にいた。前年の暮近くに「酉の方角から見た鳥海山の鳥瞰図」を図案にしたカレンダーを作り、新年の挨拶に行った際にはこれを手土産として差し上げた。この図は、地形図から計測された標高データを基に、日本海の上空から鳥海山を見下ろした風景をXYプロッタで描いたものである。ディジタル地図やこれを用いたコンピュータ・グラフィックスがものめずらしかった頃のことだ。私はアイデアを出しただけで、実際のプログラミングは、若手技術者にやってもらった。

酉、鳥、燕、鳩、烏、鷲、鷹、鶴、鷺、雉その他、鳥に関係する地名、山名などは多いから、こういう観点から鳥にちなんだ地図を探し出すことは容易である。私もこれまでこの欄で、「松茸山」や「鍋」という地名を取り上げ、その付近の地形図を旬の地図だといって紹介した。一種のこじつけである。それはそれでよしとして、今回は別の観点から鳥に関係する地図を紹介してみたい。

今回私が利用するタネ本は、1999(平成11)年1月に国土地理院が公表した「日本の典型地形 都道府県別一覧(国土地理院技術資料D・1-No.357)」というものである。この報告書は、典型地形(その地形の種類の特徴をよく表している具体的な地形)がどこにあるかということを都道府県別の一覧表と位置図に表したものである。約200種の地形種別に分けられた3923の典型地形が都道府県別に整理されている。

この報告書の中で典型地形は、「地殻の変動による地形」「火山の活動による地形」「地質を反映した地形」「河川の作用による地形」「海の作用による地形」「氷河・周氷河作用による地形」「その他の地形」に大別されている。それらの中から今回は、「砂嘴(さし)」という地形を取り上げてみたい。報告書の中で砂嘴は、「湾に面した海岸や岬の先端などから細長く突き出るように伸びている砂礫質の洲で、付近の海食崖付近で生産された砂礫や流入河川が運搬した砂礫が、沿岸流と波の作用によって運ばれて作られる」と説明されていて、「海の作用による地形」に分類されている。

砂嘴は、ありふれた地形ではないが全国あちこちにあり、この報告書には20道県の25個所の砂嘴が記載されている。一般的には「海の作用による地形」であるが、猪苗代湖、霞ヶ浦、山中湖にも砂嘴がある。千葉県の富津岬は、地形学的なことはともかく、多くの人々に知られている砂嘴である。山口県光市の象鼻ケ岬は、それらしい名前だ。

ここに地図で示した砂嘴は、北海道標津郡標津町と野付郡別海町にまたがる我が国最大級の砂嘴、野付崎である(用いた地図は、20万分の1地勢図「標津」)。根室海峡を挟んだ対岸は、国後島だ。雄大であるとともに荒涼とした感じは、北海道ならではのものだろう。

砂嘴という言葉は地形学用語の1つだが、その形が鳥の嘴(くちばし)のようなのでそう名づけられたものであり、読んで字のごとくの用語である。そういうわけで、これを酉年にちなんだ地図とした。





NONOの目

デザイン・福田繁雄




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