| 矢部 万紀子の「代理心得堂」 December
10, 2003 |
日々の考え
よしもとばなな
リトル・モア 本体1200円 |
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矢部 万紀子
ヤベ・マキコ
学芸部、AERA、週刊朝日、uno!の記者、AERA副編集長を経て、週刊朝日副編集長。週刊朝日時代に、松本人志「遺書」「松本」などの連載を担当。 |
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|バックナンバー|
竹信悦夫の「ワンコイン悦楽堂」
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よしもとばななの本というのを、ほんとうに久しぶりに読んだ。『キッチン』から『TSUGUMI』ぐらいまでは読んでいたのだが……。つまり、ものすごーく初期のものすごーく流行っていたときだけのおつきあい。
それがなぜ久しぶりに読んだかというと、版元が送ってくださったからです、すいません。リトル・モアさん、ありがとうございます。
それで、思ったのが、「たまに知らない人と話すといいかもなあ」ってこと。
突然ですが、来月43歳になる。43年も生きていると、どんどんわがままになって、「気の合う人と飲んだり食べたり楽しくしていたい」度がますますアップする。わたしはそもそも人見知りで、知らない人と話すのは得意じゃない(と記者になって知った)。
そんなわがまま人間ゆえでしょう、気づいたら、友人は「似たもの同士」ばかりになっていた。特に同性の友人。みんな仕事も個性もさまざまなのだが、なんか似てる。端的にあらわれるのは、イヤな目に遭ったときの反応。わたしが、こんなイヤな目に遭ったというと、わたしの友人はみな、たいがい同趣旨のことを言う。
そのようなお利口でない人は、相手にしなくてよし、と。
それはそれで、そうよねー、そうでしょー、でうれしいのだけど、いつもそればかりなのはどうかなあ、などと思うときもある。うーん、そうなんだけどね、な時。
この本は、ちょうどそんな気持ちの時に読んだのだけど、よかった。あんまり知らない人が全然違う話を聞かせてくれたて、それでわたしの気が晴れた感じ。
何かというとですね、わたしは数日前、とある理不尽なできごとに触れ、とても動揺したのです。どう考えてもわたしに落ち度はない。普通に普通なことをしただけだった。詳しく書くといろいろ差し障るので書かないが、「絶対、わたしは悪くないのよー」だった。そんなとき、ばななちゃんってあんまり飲んだことないけど、なんかちょっと不思議ちゃんな感じな子だけど、とにかく飲んだのね、そしたら楽しくて、留飲下げちゃったんだーって、似たもの仲間に話したい感じ。
この本は、彼女の日記だ。後書きによれば、「とにかく好きなようにのびのびとやらせていただき、とても感謝しています」。途中で彼がかわって、2番目の人と結婚して、出産直前おわかれの言葉で終わる。オカルトとか超能力とか「悪い気」とか、わたしと全然違うところももちろん多いのだけど、それはそれで、「へー、よしもとさんって、そうなんですねー」と飲みながら聞いていれば、なんの問題もない。むしろ、「え、よしもとさんもそんなことあったの、わー、そうなんだー」がうれしい。
よしもとさんが多摩川高島屋(とはっきり書いてある)の額装屋さんで、ひどい店員にあった話がそれ。額装したい版画があって、前に感じのいい店員さんがいた店に行ったのだけど、男性の店員の態度が理不尽に悪い。
「私が芸能人になりかけててちょっと傲慢が入っているもの認めるし、この世にはもっとひどい(中略)恐ろしいことがいたるところにあり、そういう基準から見たら機嫌の悪い店員なんてささいなことだというのもよおおおうくわかっている」って書き方も好き。「でもー。せめて、そういう人はそれらしいところにそれらしい態度でいてほしい。デパートの中にフェイントでいないでほしい……」という続き方も好き。
「そうかー、みんなそういうことってあるんだね、わたしもこの前ね」ってよしもとさんに聞いてもらったみたいになった。うん、よしもとさんってば、癒し系。
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