asahi.com
天気  辞書  地図  サイト案内  Top30 
サイト内 WEB
コラム 社 会 スポーツ 経 済 政 治 国 際 サイエンス 文化・芸能 ENGLISH 
  >AIC  >天声人語  >日本@世界  >ポリティカにっぽん  >風考計 
     
 home >コラム >早野透「ポリティカにっぽん」   

ポリティカにっぽん
バックナンバー
English
早野透
本社コラムニスト
早野透
早野透
 
三位一体劇 幕が下りた後に

 三位一体改革の内容が決まった翌27日、早稲田大学で開かれたローカル・マニフェスト推進大会での改革派知事の発言が面白かった。

 「三位一体という演目の劇にわれわれも舞台に出た。ずっこけるかと思ったらまとまったセリフが言えた。しかし主役は小泉さんなのに、出番がなくてよかったなどと言っている変な劇」というのは浅野史郎宮城県知事。

 国のひも付きの補助金を削り、その分は自治体が自由に使えるように税源を移譲し、あわせて地方交付税のむだ遣いをなくす。三位一体は、つまり地方分権を広げようという試みだけれども、権限イノチの各省庁の抵抗で思うように進まない。

 ものども、おれの命令を聞け、と大将が決めセリフを言ってくれれば劇は大団円となるのに、小泉さんがそれを言わないから脇役端役が大騒ぎしたまま、何が何だかわからないつじつま合わせで幕が下りた感じである。

 「とは言っても国と地方の公式協議が7回持たれた。これは小泉さんの次の政権になっても捨てられない」というのは増田寛也岩手県知事。

 ここまで来るには小泉さんも各省庁・族議員連合の抵抗に手を焼き、自治体側から3兆円補助金削減案をつくるように頼んだ経緯がある。全国知事会などで甲論乙駁(こうろんおつばく)、ともあれ案をつくった。それが「われわれも舞台に出た」という意味である。

 あわてたのは各省庁側。どうせ連中には「まとまったセリフ」など言えるわけないとたかをくくっていたのができてしまったから、やむなくこれと交渉する羽目になる。ちょうどプロ野球騒動で古田敦也選手会長が果たした役割を全国知事会会長の梶原拓岐阜県知事が担った形か。フレーフレー古田、フレーフレー梶原というわけだね。

 「こんどのことで政府というものがいかにバラバラか国民の前に明らかになった。トップのいうことをひっくりかえそうと役人が動き回る。陸軍が勝手なことをして日本を滅ぼした戦前とそっくりだ。政府のありかたを変えなくちゃいけない。政府を替えなくちゃいけない」

 「地方は出産奨励金や仲人のお礼まで公費をむだに使っていると役人が国会議員に触れ回っている。しかしそういうことはその土地のやむにやまれぬ事情がある。それを針小棒大に騒いで、霞が関は余剰人員が多いんだね」

 以上の発言は片山善博鳥取県知事。「省あって国なし、局あって省なし」と昔から言われてきたけれど、相変わらずなんだね。いや、教育や福祉はナショナルミニマムを守るために国の関与を残した方がいいという有力な意見もあるけれども、ここは百年の旧弊を打ち破るために地方を信用して地方にお金をすっぱりと渡した方がいい。もし使い方が悪ければ、その首長は選挙で落とせばいい。

 となると、大切なのは選挙である。いま振り返ると、03年1月の三重県四日市市でのシンポジウム「分権時代の自治体変革」で、当時の改革派リーダー北川正恭三重県知事がマニフェストを言い出した意義は大きかった。

 スローガンだけじゃだめ、数値目標や期限、財源を明らかにした政策体系を有権者に示して選挙で信任を得なければいけない、自治体首長はきちっとした公共経営感覚を持たなければいけない……。そりゃそうだ、地方に税源を渡せ、地方を信用せよというには、マニフェストという有権者との契約書がぜひとも必要になってくる。

 マニフェスト運動は地方選挙、国の選挙を巻き込み、財源がなければマニフェストも書けないぞと三位一体改革までたどり着いた。こんどの成果はまあ50点というところかも知れないけれど、これからが大事である。

 知事から早稲田大学教授に転じた北川氏はローカル・マニフェスト推進大会を司会して、こんどは「ゲームを変えよう」と言い出した。

 「補助金削減でなく補助金廃止へ。ひとつの体制の中で変えるのでなく体制そのものを変えよう」

 だんだん言うことが過激になってくる。各省庁のみなさんもそろそろ地方への引っ越し支度を始めたほうがいいかもしれない。

(2004/11/30)








| 社会 | スポーツ | 経済 | 政治 | 国際 | サイエンス | 文化・芸能 | ENGLISH |
GoToHome ニュースの詳細は朝日新聞へどうぞ。購読の申し込みはインターネットでもできます。 GoUpToThisPage
asahi.comに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。
| 著作権 | リンク | プライバシー | 広告掲載と注意点 | アサヒ・コムから | 朝日新聞社から | 問い合わせ |
Copyright Asahi Shimbun. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission