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小原篤のアニマゲ丼

水没した未来と支配された日本

2007年11月05日

 とある夜。アニメ映画の試写会で一緒になった友人たちと飲んでいた折、「最近、水上都市とか、水没した未来とか、そんな設定の作品が多いけど、なぜ?」という話になりました。

表紙

アニメ「ARIA The ANIMATION」DVD第1巻(メディアファクトリー)。水の星「アクア」の水上都市ネオ・ヴェネツィアが舞台のシリーズは、05年から放送が始まった

表紙

06〜07年放映のアニメ「コードギアス 反逆のルルーシュ」DVD第1巻(バンダイビジュアル)。超大国ブリタニア帝国に占領された日本が舞台だ

 「それはやっぱり地球温暖化への不安を反映しているからですよ」と私。

 メンツの1人である元新聞記者でアニメ評論家の藤津亮太さんからは、「あまりに新聞的な分析」と苦笑されてしまいました。

 新聞は「傾向と分析」が好きです。話題の本やら映画やらテレビ番組をいくつかピックアップして「傾向」を提示し、その裏にはこんな世の中の流れや人々の気分があるのでないか、と「分析」します。対象は本や映画に限らず、社会の出来事だったり、ヒット商品だったりもします。

 たとえば「意味のない暴力が荒れ狂う作品が多いのは、殺伐とした現代社会の反映なのかもしれない」とか、「ノスタルジックな作品が当たるのは、不確かな未来への不安から、過去へ逃避しているのかもしれない」とか、「破天荒な主人公が目立つのは、閉塞感を打破してほしい願望の現れなのかもしれない」とか、いろいろあります。私も以前、「アニメでハーレムものが多いのは、女の子に囲まれた主人公の姿が、アニメやゲームの美少女キャラクターに囲まれた若者の現実を反映しているからかもしれない」などと書いたことがあります。

 「ホントかよ?」という声が聞こえてきそうですが、まあまあ。「静かなブーム」とか「隠れたヒット」とうたった記事に「静かだったり隠れていたりしたら、ブームでもヒットでもないじゃん」などとツッコむのは野暮というものでしょう? 同様に、こんな「傾向と分析」も広い心と温かい目で読んでやってください。

 今度は別の日の夕方。アニメ映画祭の懇親会(立食パーティー)で、「大国に支配された日本とか、分断された日本とか、鎖国した日本とか、そんな話が目立つ」という話になりました。

 「それはやっぱりグローバル化で日本が脅かされているという不安の現れですよ」と私。隣にいた同年代のアニメ監督からは「それはあるんじゃないですかねえ」と同意をいただいたが、さて。

 ともに酒を片手の、その場の思いつき。当たっているかもしれないし、そうでないかも。

     ◇

 「アニマゲ丼」は、アニメや映画について思い浮かんだこと、取材のこぼれ話、身辺雑記など、雑多な素材を気ままに盛りつけるコラムです。よろしくおつきあいください。

プロフィール

小原 篤(おはら・あつし)
1967年、東京生まれ。91年、朝日新聞社入社。99〜03年、東京本社版夕刊で毎月1回、アニメ・マンガ・ゲームのページ「アニマゲDON」を担当。07年からデジタルメディア本部WEB編成セクションに在籍、アサヒ・コム「コミミ口コミ」欄でアニメ記事などを発信中。

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