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小原篤のアニマゲ丼

さらば読売オタク記者仲間

2007年11月29日

 友人に、読売新聞記者の福田淳(まこと)さんという人がいます。読売紙上にアニメ関係の記事を書き、ネットでもその勇名をとどろかせ、「福タン」の愛称で親しまれています。私が朝日紙上で「女装少年」ネタなどを書いたのも、福田さんへの対抗意識があればこそ。本コラム「アニマゲ丼」も、彼が「福田記者のヲタスタイル」というブログを「YOMIURI ONLINE」に書いていたので、そのマネをして始めました。

写真

福田さん(左)、毎日新聞の渡辺圭記者(中央)、私の3人で、秋葉原のメイド喫茶にてオタク記者座談会もしました。講談社「メカビ」vol.1(06年6月刊)の企画です

表紙

私も参加した同人誌「直言兄弟+」(めでたく完売)。表紙も書かせてもらいました。上が福田さん、右が私、左が石田さん

イラスト

同人誌の表紙は後ろ頭だけだったので、今回、前も描いてみました

 03年9月に、NHKでの「プラネテス」試写会でアニメ評論家の氷川竜介さんから紹介されたのが出会いです。ちょうど「アニメの妙に濃い記事が読売に載るな」と気になっていたところで、「ああこの人か」と合点がいきました。向こうも「ああこの人か」と思ったことでしょう。さっそく、ちょくちょく飲んでは、同業相励まし、同病相憐れむ仲に。「○○さんの訃報は紙面に載せた方がよかったのではないか」といった記者ならではの問題について意見を交わしたりもしますが、大半は、「年上の妹」と「年下の姉」はどちらが萌えるかといったバカな話で盛り上がります(注:兄か弟が結婚した場合にこうしたケースが発生し得るのですが、言うまでもなくフィクション上のキャラの話です)。

 福田さんは読売のマンガ担当記者石田汗太さんとユニット「直言兄弟」を作り、オタク時事ネタ放談を紙面に連載、さらには同人誌を作ってコミックマーケットに参加しました。記者離れした弾けっぷりです。06年夏のコミケに出した同人誌では、「時をかける少女」や「ゲド戦記」などその夏のアニメ映画を語る座談会に私も参加させてもらったので、直言兄弟とは「義兄弟」の契りを結んだことになっています。

 契りで思い出しましたが、共通の友人たちと飲んでいた折、福田さんと私では福田さんが「受け」で私が「攻め」だね、という話になりました。何のことか分からない人は分からないままの方がいいかも知れませんが、一応説明しますと、腐女子の方々が楽しまれる「やおい」「ボーイズラブ」のカップルにおいて、女性的役割が「受け」、男性的役割が「攻め」です。この「受け」と「攻め」は様々な対象に応用できる絶妙な概念で、いろんなものに勝手に当てはめると面白いのですが(読売新聞が「攻め」で朝日新聞が「受け」とか)、自分がネタになるとリアクションに困ります。

 「そうか…自分は攻めキャラなのか」と思っていたところ、その場にいたライターの小川びいさんが異を唱えました。「いや違う! 小原さんが『誘い受け』で、福田さんが『ヘタレ攻め』なんだよ!」。「お〜お」。なんだか納得したような空気が流れます。そうか? そうなのか?

 「誘い受け」と「ヘタレ攻め」がどんなタイプを指すのか、やっぱり分からない人は分からないままの方がいいかも知れません。「受け」と「攻め」を細分化し複雑微妙な人間関係を腑分けしていく「やおい」の道は、奥が深いです。

 さて、2ちゃんねるで「『美味しんぼ』のような新聞社対決をアニメでやってくれ」と期待されもした私と福田さんですが、ついに別れの時が来ました。12月から福田さんは福島支局に異動するのです。かつての初任地に錦を飾り、若手記者たちを引っ張っていくであろう彼を応援します。

 がんばれ福田さん、さようなら。でも来月のコミケには来るんだよね。

プロフィール

小原 篤(おはら・あつし)
1967年、東京生まれ。91年、朝日新聞社入社。99〜03年、東京本社版夕刊で毎月1回、アニメ・マンガ・ゲームのページ「アニマゲDON」を担当。07年からデジタルメディア本部WEB編成セクションに在籍、アサヒ・コム「コミミ口コミ」欄でアニメ記事などを発信中。

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