現在位置:asahi.com>文化・芸能>コラム>小原篤のアニマゲ丼> 記事 マンガを読むのも仕事のうちよ2008年04月07日 仕事柄、いちどきに大量のマンガを読むことがあります。弊社主催の手塚治虫文化賞を担当していた時は、候補作、受賞作、受賞者の過去の作品を、30〜40冊は当たり前、多い年には100冊近くもひと月余りの間に読みます。仕事場で読み、行き帰りの電車で読み、休みに自宅で読み…。苦しいようなすごく幸せのような、マンガ・ランナーズハイな日々が続きます。
それと似た体験を最近しました。仕事じゃありませんが、知人が有志で始めた「マンガ大賞2008」の選考員を務めたのです。「書店員を中心にした各界のマンガ好きが選ぶ、2007年の一押しマンガ」というコンセプト。最大巻数が8巻以下の作品を対象とするのがポイントで、「8巻を超す長さのものはすでに面白さが世間に知れ渡っている」というのが除外の理由です。「コレ面白いよ!」と人に薦めたいフレッシュな作品を選ぶというのが眼目です。 恥ずかしながら、主な雑誌に目を通し新連載をまめにチェックし、といった立派なマンガ読みではありませんが、せっかく声をかけていただいたので、勉強させてもらうつもりで引き受けました。選考は投票方式。まず1次選考(76人が参加したそうです)で推薦したい5作を挙げます。「これは本命、これは先物、これはもっと知ってほしい作品…」と10作ほど列挙し、うんうん悩んだ末に半分に絞りました。 ・椎名軽穂「君に届け」(集英社) ・石田敦子「アニメがお仕事!」(少年画報社) ・カラスヤサトシ「カラスヤサトシ」(講談社) ・瀧波ユカリ「臨死!!江古田ちゃん」(講談社) ・桃森ミヨシ「悪魔とラブソング」(集英社) 選んだ後で5人中4人が女性作家だと気づきました。なんて乙女なワタシ!(ウソです)。唯一の男性作家がカラスヤサトシさんというのもヘンです。いや、カラスヤさんがヘンだというわけではなくて……やっぱりヘンか。 集計し上位10作が2次選考へ。ただし今回は同票数のものがあったので12作がノミネートされ、選考員は各自、1・2・3位を決め投票します。これまた恥ずかしながら、半分近くがまったく読んだことのない作品でした。選考員はすべて(計48冊)を読んだ上で投票することになっていますので、家にない本をドサドサと買い込み、投票締め切りまでマンガマンガマンガの日々です。 2次選考(73人が参加)の結果はこの通り。3月28日に発表されました。 マンガ大賞 石塚真一「岳」(小学館) 2位 あずまきよひこ「よつばと!」(メディアワークス) 3位 よしながふみ「フラワー・オブ・ライフ」(新書館) 同 吉田秋生「海街diary1 蝉時雨のやむ頃」(小学館) 以下、5位「君に届け」、6位「大奥」、7位「皇国の守護者」、8位「とめはねっ! 鈴里高校書道部」、9位「もやしもん」、10位「夏目友人帳」、11位「ひまわりっ 〜健一レジェンド〜」、12位「きのう何食べた?」 ちなみに2次選考で私が入れたのは、1位「君に届け」、2位「フラワー・オブ・ライフ」、3位「皇国の守護者」(佐藤大輔・伊藤悠、集英社)でした。3位は小説のマンガ化で、私にはなじみのない架空戦記っぽくて、ふだんなら手を出しそうにない作品ですが予想外に面白く、勉強になりました。選考を終えての感想は、平凡ですが「世の中には面白いマンガがたくさんあるなあ」と「食わず嫌いはいかん」。 選考にはコメントをつけられるので、私も「女性は怖いです。怖いくらい面白いです。全裸の江古田ちゃんは抜き身の刀のように危ないです。ヌルい男の幻想をメッタ突きです」といったコメントを書きました。選考員全員の推薦作とコメントは「マンガ大賞」公式サイトから読むことができます。「アニメがお仕事!」を挙げた人が私のほかにもうお1人いたのでニンマリ。でも「カラスヤサトシ」を推したのは私だけ。どうして? あんな面白いのに。 ちなみに「カラスヤサトシ」がどういうマンガかというと、アパートで独り「ガシャポン(カプセル入りおもちゃ)のラ○ダー怪人」たちを手製のリングで闘わせて壮大な抗争劇を妄想したり、アパートで独り南京玉すだれを使って洗濯物を取り込む特訓をしたり、アパートで独りスーパーマーケットのテーマソングを歌って大泣きしたり、といったカラスヤさんのワンダーな日常を描いたギャグ4コマです。是非ご一読を。 プロフィール
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