■評:凛とした強さと流麗さ
21歳の若き座長、早乙女太一が、名古屋・中日劇場で観客の熱い視線を浴びている。大志を抱く若武者を凛(りん)とした強さと流麗さで演じる冒険活劇「神州天馬侠」だ。ダイナミックな殺陣と涼やかな色気も異彩を放つ。スポットライトを浴びて輝く「華」は鮮やかである。
戦乱の世。武田勝頼の遺児・伊那丸と7人の若者が、甲斐の国・武田家の再興を願って徳川家康一派と繰り広げる死闘を描く。吉川英治原作、渡辺和徳脚本、岡村俊一演出。絶叫調のせりふ、過激な擬闘、多彩な照明、大量の音響、派手な映像……と、つかこうへい芝居の亜流とはいえ、笑いもまぶしてドライに活写する劇画調の青春群像は理屈抜きで面白い。しかも単純明快。時代考証や整合性など眼中にないようなエンターテインメントの洪水が痛快だ。