■沢木耕太郎
この「きっと、うまくいく」はインド映画らしくないインド映画と言えるかもしれない。少なくとも、私がイメージするインド映画とはかなり異なっている。最小限の歌と踊りは出てくるが、それが映画にとって本質的な要素とはなっていない。むしろ、大学生活を描いた青春グラフィティ映画として、広く世界に通用する普遍性を持っているように思われる。グラフィティ、つまり壁に描かれた落書きのような、愚かしさと紙一重の煌(きら)めきを持つ物語として。
ランチョーとファルハーンとラージューの三人は、インドの最難関工科大学の寮で同室になる。その大学は、学長が学生を馬車馬のように勉学に追い立てることで、インド一という名声を獲得していた。だが、ランチョーは、成績などまったく意に介さず、自由に考え、自由に学び、自由に楽しんでいこうとする。やがて他の二人もランチョーに影響され、学長の思惑に反する道を歩むようになる。物語は、その三人の、いわば「陽気な愚行」とでも言うべきものが生き生きと描かれていく。