【小原篤】老人ホームを舞台に、認知症の高齢者たちの不安や焦りを、落ち着いたタッチで描くスペインの長編アニメ「しわ」が、22日から公開中だ。イグナシオ・フェレーラス監督は「ありのままの現実を伝えようと努めた。観客にこびたり誇張したりしては、認知症の高齢者やその家族の尊厳を傷つけてしまう」と話す。
認知症の症状が現れた元銀行マンのエミリオは、息子に連れられ施設にやってくる。絶えず電話を探している女性、おうむ返しにしかしゃべれない男性、ソファで一日中テレビをながめている集団……。戸惑うエミリオはある日、2階のベッドに横たわる要介護者らの様子にショックを受け、不安を募らせる。
パコ・ロカ作のマンガをプロデューサーに見せられたフェレーラス監督は、巧みなキャラクター配置や全編にあふれるユーモアにひかれ、映画化を引き受けた。「ほぼホームの中の世界だけを描いているのに、社会のひずみが端的に現れている。ただ、ラストは変えました。もう少し希望を持たせたかったから」