【西本ゆか】わかりやすい演劇を否定はしない。「劇団☆新感線も芝居の垣根を低くしちゃったしね」と古田新太は振り返る。「でも今回の舞台で展開するのは物語というより、現象。咀嚼(そしゃく)に力のいる等身大でない世界のためにこそ、劇場はあると思うんですよ」。東京・渋谷のシアターコクーンで6日に始まる「盲導犬」で、盲人・破里夫を演じる。
唐十郎と蜷川幸雄の初タッグ作品で初演は1973年。不服従の盲導犬を捜す破里夫と、奇妙な絆で結ばれたフーテン少年(小出恵介)、コインロッカーに恋人の思い出を封印された女銀杏(いちょう、宮沢りえ)とが出会い、魔都新宿がうごめく。
古田にとって唐戯曲は97年の「愛の乞食(こじき)」以来16年ぶり。「俳優を通してしか成立しないせりふの奔流」に、唐の「特権的肉体論」を痛感するという。「要(かなめ)は緊張、ハイテンションで、楽した途端に破綻(はたん)する。へとへとになるが、美形も不細工もダンディズムとヒロイズムに貫かれ、かっこいいから、癖になる。『こんな奴いねえよ大会』のような作品は、演劇のもつ祝祭性に満ち、気持ちいい」