■古谷敏さん:黒衣
【1991年5月3日朝刊】
俳優からぬいぐるみショーの世界に踏み出した古谷敏は、アマギ隊員の衣装を着て、デパートの屋上に立った。1968年の秋だった。怪獣は円谷プロなどから借りてきた。5体あれば、そこそこの実演に仕上がる。アルバイトの学生に振り付けを教えた。古谷は司会をやった。
番組放映時にコネのできていた遊園地、商店会などに声をかけた。日当をもらい、ショーをやらせてもらった。
古谷の頭には、東北へ行ったときの情景が残っていた。開演直前、はなを垂らした少年が1人、入り口の前で待っていた。「金を忘れた」という。当時は有料が多かった。「じゃあ、一緒に入ろう」と手を引いた。少年の目を見ながら、金がなくても見せてやる方法はないものかと思った。