【井上秀樹】全体の7割ほどは歌って踊る、その名も「妙(ミョ)ージカル」。物語より音楽が印象に残る独特な構成の作品で突っ走る集団「FUKAIPRODUCE羽衣」が、脚光を浴びつつある。
制作を兼ねる女優の深井順子と作・演出・音楽の糸井幸之介は、高校演劇部の同級生。大学では別の劇団を主宰したものの、人付き合いが苦手だった糸井に、劇団唐組にいた深井が「私が主宰をする」と手を差し伸べ、2004年に結成した。深井は、唐十郎の作品に似た、詩的で現実を超えた糸井の世界にほれ込んでいた。
舞台では、これでもかと歌と踊りが続く。前作「サロメvsヨカナーン」では冒頭25分間も音楽が続いた。元々バンドをやりたかったという糸井は「会話を書くのが苦手」。場面を丸ごと曲にしたり、せりふをリズムに乗せたりして、音楽と芝居が融合した作風を編み出した。