■楊逸(作家)
昔読んだ本で、中国と欧米文化の違いについて論じたものがあった。宣教師の歴史を研究する中国の学者が、中国人と欧米人の行動パターンの特徴から、処世哲学の違いを分析した内容だった。
本の中では、中国人の処世哲学が、――己所不欲、勿施於人(己が欲しない物事を、人に施してはならない)という『論語』の一節で概括されていた。仏教を例にとってみれば、仏教を「素晴らしい」と思った唐の皇帝たちは、僧を遣(や)って天竺(てんじく)に仏典を取りに行かせ、中国に仏教を普及させたが、それをさらにほかの国に広めようとは、全く考えていなかったし、のちに鑑真が日本に渡る際には、むしろ阻止するような向きもあったくらいだ。