■評:白人青年が味わう青春の闇
【森直人・映画評論家】“青春の光と影”というありきたりなフレーズでは、この映画の形容に届かないだろう。主人公の若者は、ほんのひと夏の間に、人生の光をブラックホールのように呑(の)みこむ深い闇に直面するのだ。傑作と呼んでもいいが、むしろ鮮烈な怪作。原作はピート・デクスターの小説で、彼自身が共同脚本も手掛けている。
とある黒人女性の回想という体裁で語られる物語は、1969年フロリダ州の田舎町が舞台。うだるような猛暑の夏、大学を中退して退屈な日々を送るジャック(ザック・エフロン)は、新聞記者の兄が追っている殺人事件の調査を手伝うことになる。その過程で、冤罪(えんざい)の可能性が検討されている死刑囚の婚約者シャーロット(ニコール・キッドマン)に出会い、たちまち彼女のワイルドな魅力に惹(ひ)かれて激しい恋心を抱いてしまう。