陰影に富んだビジュアルを次々と展開する万華鏡。それが20日公開のオムニバス映画「SHORT PEACE」だ。
幻想的なオープニングに続き、可愛らしい教訓譚(たん)「九十九」、江戸が舞台の美しい悲恋「火要鎮」、血みどろのバイオレンス「GAMBO」、無人戦車との不毛な戦闘「武器よさらば」という四つの物語が観客を待ち受ける。監督は4作品とも異なり、映像のテイストや制作手法もそれぞれ違うのが楽しい。
中でも、ひときわ目を引くのは、大友克洋監督の「火要鎮」。江戸時代を舞台に、商家の娘お若と幼なじみの松吉の恋の行方を街を焦がす大火と絡めて描く。前半は、絵巻物を参考に描かれた、奥行きのない独特の背景による画面構成が見どころ。後半の大火のシーンになると一転、炎と煙と群衆がダイナミックに画面を埋め尽くす。「伴大納言絵巻」を参考にしたという炎などが、様式美を保ちつつも、同時に「動く絵」として巧みに描き出される。日本画風の人物描写と併せて、徹底された美意識に基づいた画面が圧倒的だ。