■評:野外劇の精神 俳優陣が体現
【大笹吉雄・演劇評論家】劇場という限定空間に演劇が収まりきって久しいなか、中上健次の唯一の戯曲「かなかぬち・ちちのみの父はいまさず」(和田喜夫演出、外波山〈とばやま〉文明総監修)が、27年ぶりに椿(つばき)組の野外劇として上演されている。
「はみだし劇場」という劇団による1986年夏の前回公演(外波山演出)は、横浜本牧の新開地で行われた。当時は遠くの小高い丘に至る広々とした整地で、その一帯が「劇場」となり、丘の頂上や中腹など、演技エリアのあちらこちらにかがり火がたかれて、芝居は始まった。まことに壮大な野外劇だったが、こういう試みはこれ以後、ぱたっと姿を消した。