■若手刺激し続けた「推理日記」
千を超す短編を残した。だが彼の代表作といえば、40年近くに及ぶミステリーの評論「推理日記」だと思う。毎月「小説推理」が届くと、真っ先に「推理日記」のページを開いた、という作家の多いこと。1973年から始まった連載は、若手からベテランまで刺激し続けた。
「相手にあわせて、軽く相づちを打つことはしない人」と五木寛之さんは評した。自分の節は曲げない。優しく、時に厳しく。宮部みゆきさんは「ミステリーのお父さん」と慕い、横山秀夫さんには「推理日記」が「恐怖であり、すごくうれしい」存在だったという。