「だから『風立ちぬ』は、バカボンのママが好きな男なら全員が好きになる映画なんですよ!」
とある夜、酒杯を交わしつつライバル紙の映画担当記者(女性)にこんなことを力説してしまった私。ようやく公開となった宮崎駿監督の映画「風立ちぬ」について、今回はヒロインのお話をいたしましょう。あのヒロインは「バカボンのママ」です。いつまでもガキのまんまの男が外でどんなバカなことをしてもボロボロになっても、慈愛のまなざしで迎え入れヒザのぬくもりでいやしてくれる、少女のように純粋で聖母のようにやさしい「バカボンのママ」なのです。あ、ネタバレですからね。
零戦の設計者・堀越二郎の評伝に、堀辰雄の小説「風立ちぬ」を融合させた物語。少年期、飛行機の設計家になると決意した二郎は、夢の中でイタリアの設計家カプローニと出会い、その後も夢の中で、飛行機にかける熱い思いを語り合う。大学生となった二郎は、東京へ向かう汽車に乗っていて関東大震災に遭遇し、聡明(そうめい)な少女・菜穂子を助ける。エリート技師となった二郎は、静養のため訪れた避暑地で10年ぶりに菜穂子と再会、結婚の約束をするが彼女は結核に冒されていた。新しい戦闘機の設計主任を命じられた二郎のもとへ突然、高原病院で療養していた菜穂子がやってくる。二郎の上司に仲人を頼んで2人はその夜結婚し、上司宅の離れで暮らし始める。激務の続く二郎を、病身ながらいたわる菜穂子。試作機が完成し初飛行を迎えた日、菜穂子は誰にも告げず高原病院に戻る。試験飛行の大成功を喜ぶ同僚らの歓声の中、二郎は菜穂子との別れが来たことを直感的に悟るのだった……。というのがあらすじです。

1967年、東京生まれ。91年、朝日新聞社入社。文化くらし報道部でアニメやマンガを担当。※ツイッターでもつぶやいています。単行本「1面トップはロボットアニメ 小原篤のアニマゲ丼」(日本評論社)発売中。