■作曲家
■間に合わせで作った「きょうの料理」
――1963年に始まったNHK大河ドラマの第1回作品「花の生涯」を担当。その後「天と地と」「新・平家物語」「勝海舟」「徳川家康」を手がけます
「花の生涯」の頃、僕はNHKラジオの「立体音楽堂」で曲を書いていました。第1放送と第2放送を2台のラジオで同時に聴くとステレオ放送になる、という番組でした。局のミキサールームで音をチェックしていたら、NHKのお偉方が入ってきて、こんなすごい音を書く作曲家なら「花の生涯」を任せようと。国内最高のオーディオを備えた部屋だったからですが、すばらしい誤解をして下さった。
その「花の生涯」では録音するスタジオがなかなかとれず、ようやく午前2時から3時間だけ確保した。NHKがまだ東京・内幸町にある頃で、演奏家は終電で来て始発で帰る日程でした。いざ演奏し始めたら、弦楽器に一番力強く弾いてほしいところで力が入っていない。おかしいと思ってよく見ると、楽譜通り弾いているのは2、3人。演奏前に飲んで来た連中は難しい部分ですっと弓を浮かせていた。無理に弾いて音を外すよりはましだと諦めました。