【ライター・山家誠一】今、深海が人気だ。NHK・FMでは27日、地球深部探査船「ちきゅう」を舞台にしたドラマ「星を掘れ!」(夜10時)を放送する。ポスドクの青春成長物語だ。ポスドクはポストドクターの略で、博士課程を出て研究事業ごとに雇われる任期付き研究者。非正規雇用の若者たちだ。
主人公の初島は、テーマはあるのだが一向に形にできないでいる。質問されても、色々な文献の引用を言うばかり。「全部、他人の考えじゃん。真剣に考えたことないのかよ」と、先輩に言われてしまう。ナイーブで優しいのだが、押しがない。
探査船上で偶然、離婚して家を出て行った父親に再会。初島役の川口覚は今時の優しい青年の感覚をうまく表現している。聞いているうちに父親の年齢に近い筆者も、「しゃんとせい」と言いたくなった。極力争いごとを避ける初島だったが、母を巡って父とぶつかった時、母子一体への攻撃と感じたからか、猛烈に反発。だが、そうした父への対抗が、自分の中に自分の足場を持つことを促したのだろう。自分の言葉で語れる「大人」へと成長するのだった。