【編集委員・宮代栄一】書聖・王羲之(おうぎし)に範をとった端正な書きぶりから柔らかな和様(わよう)が生まれ、そしてまた中国風の唐様(からよう)が流行する――。日本の書の歴史は様々な流派と書法の盛衰の連続だった。東京都内4カ所で開かれている展覧会を歩くと、それが実感できる。
8世紀の正倉院文書に始まり、10〜12世紀の仮名の名品が堪能できるのが、世田谷区の五島美術館での「日本の名蹟」(28日まで)。中でも「関戸本古今集切」(11世紀)は、乱れることなく書き連ねられた密な表現が魅力の逸品。藤原佐理(すけまさ)の「国申文帖(くにのもうしぶみじょう)」(10世紀)は、奔放な筆運びが見る者の心をとらえる。
日本文化の粋ともいえる様々な和様の書が一堂に会するのが、台東区の東京国立博物館の「和様の書」(9月8日まで)だ。小野道風や藤原行成ら、いわゆる「三跡」の名品をはじめ、名筆の見本帳といわれる手鑑(てかがみ)では「四大手鑑」(いずれも国宝)がそろった豪華絢爛(けんらん)な展覧会だ。