小鳥が羽ばたいている
閉めきった窓の部屋のなかで
掴むことのできる枝はどこにもない
嘴に血が滲んでいる
ううん、母さん、誰もいないよ
手のなかに小鳥を握る
少しでも緩めると
まるで嵐のように足掻きはじめる
それからゆっくり力をこめる
あれにさわりたくて
ちがうよ、母さん、いまのはテレビの音だよ
外は土砂降りの雨だ
往来に溢れかえった人々は傘をかざして
水溜りとともに悲鳴をよけて―
浅い眠りのむこうから白い峰があらわれて
押入れの前に聳え立つ
この山の裾野に指一本ふれただけで
凍え死ぬだろう、ぼくも母も
小鳥は吹雪の頂で眼をつむっている