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落語ってこんなにおもしろい

文・京須偕充

正月の寄席・初席のにぎわい

2007年12月28日

 08年のお正月は都内の寄席へ行くつもりです。

 「ぜひ行ってほしいね。正月、とくに三が日の寄席は独特の雰囲気があるよ。正月の飾りがしてあるし、晴れ着のお客も多い。しかも大入り満員。高座の顔ぶれもふだんよりずっと人数、あるいは本数が多くてにぎやかだ」

 出演本数はふだんの倍ぐらいあるんですか。

 「倍とまではいかなくても、それに近い。ふだんは1時間にほぼ4本が目安だ。トリは2本分ぐらいに長くやるから別だけどね。それが正月の寄席、といってもこれは元日から1月10日までの初席でのことだが、1時間に7本ぐらいになる」

 7本というと……1本が10分足らず?

 「そう。割れば8分半ぐらいというわけだね」

 じゃ、長い噺はやれませんね。

 「そりゃそうだ。だけど正月の客は人情噺をたっぷり聴こうと思ってはいないから、それでいい。それがお正月らしい寄席のあり方だな。5分、7分ぐらいでやれる噺もたくさんあるし、後半をカットしても楽しめる噺もある。いわゆるネタじゃなくて、マクラだけで終わっても、それで客を喜ばせられればいいというわけ。かえってふだんよりも演者の地力やタレント性がはっきりわかるね」

 落語だけでなく色物も短いんですね。

 「もちろん。色物にもショート・バージョンはあるわけで、1時間に7本というのは、うまく転がれば、とてもリズムとテンポのあるいい構成にもなる。そこもまた正月らしい。とにかく大勢の寄席芸人を一挙にナマで味わえるから、正月の寄席に何回か、何カ所か行けば、演芸界の全般が手っ取り早くつかめるといっていいだろうね」

 じゃ、初席で当たりをつけて、自分のひいきの演者を見つける、じっくり聴くのはそれからあとのふだんの寄席や落語会でーーということにします。

 「それがいちばん賢いね。ちょっと気を付けてほしいのは、ふだんの寄席は昼夜2部制だが、初席は3部制、あるいは4部制という興行態勢になる。また初席も前半、つまり5日までと後半の10日までとではちょっと態勢が変わって出演者の組み替えもあるので、よく情報をたしかめることだね。入れ替えなしで通して客席にいられる寄席もある。また、いつもは昼頃から始まるが、初席は朝のうちにスタートする。とくに浅草寺の初詣で客が立ち寄る浅草演芸ホールの三が日の公演開始は早いからね」

プロフィール

京須 偕充(きょうす・ともみつ)
落語プロデューサー
1942年、東京生まれ。ソニー・ミュージック(旧CBS・ソニー)のプロデューサーとして、六代目三遊亭圓生の『圓生百席』や古今亭志ん朝の作品など、数多くの落語レコード、CDの制作を手がけてきた。
有楽町で開かれている『朝日名人会』に加え、06年4月に浜離宮朝日ホールを舞台に始まる『朝日いつかは名人会』をプロデュースする。
『落語博物誌』(弘文出版)、『落語名人会 夢の勢揃い』(文春新書)、『古典落語CDの名盤』(光文社新書)など、落語に関する著作も多い。

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