現在位置:asahi.com>文化・芸能>コラム>ラクゴロク> 記事 聞き手:西秀一郎 構成:小松照昌 「ただいま『仔猫』強化月間!!」 南原清隆2006年11月15日 ナンチャンこと南原清隆さんは大の落語ファン。ウッチャンナンチャンでの活動、スポーツ番組の司会、ワンマンライブなど、忙しいタレント活動の合間をぬっては落語会に参加して、日々研鑽(けんさん)を積んでおられるとか。そんな南原さんに落語のおもしろさを語ってもらいました。
(南原清隆さんのプロフィール) ――先だって(10月14日)、大阪帝塚山の「無学」で行われた笑福亭鶴瓶さん主催「つるべ、らくごのお稽古」に出演されたそうですが……。 はい、「仔猫」を20分ぐらいに短くしたものをやらせてもらいました。 ――天満の「繁昌亭」でも演じられたそうですが、そこでは何を? それも「仔猫」ですね。 ――「仔猫」が多いですね? 僕、「仔猫」好きなんですよねぇ。初めて聞いた時は、「何かむずかしい噺だなぁ」と思っていたんですが……。いろんな方の「仔猫」を見たり聞いたりしているうちにだんだん好きになったんです。 ――落語との出会いを教えていただけますか? 僕は香川県出身でメディアの中心は大阪でしたから、関西ローカルのお笑い番組、吉本新喜劇とか、松竹新喜劇とかを小さい頃からよく見ていました。中学生の時に、仁鶴師匠や枝雀師匠が大人気になって、ちょっとした落語ブームが起こった。それで一気に落語が好きになって、高校生になるとすぐ落研に入ったんです。まあ、僕のいとこが同じ高校の落研に入っていて、話を聞くと、みんなで旅行に行ったりとか、そこで慰問落語会をしたりとかが、面白そうだったんで、それにちょっと惹かれたっていうのもあるんですけどね! ちょうどそのころ、プロの落語家さんを招いて行われる香川県主催の落語会っていうのが2カ月に1回ありまして、欠かさず通っていました。そこでナマの枝雀師匠とか小三治師匠とか松鶴師匠とかを体験するわけなんです。 ――どうでしたか? ナマ枝雀は。 中学の時から大好きでずっと見ていましたからね。よく漫画的って言いますが、やっぱり絵が頭の中に飛び込んでくるような感覚が面白いんですよね。それに、あの表情。ここが他の人と全然違うなって。「鷺とり」とかね。「さ〜ぎ〜」って、ヒュッて顔をこっちに向ける時の表情とかがかわいらしくて。そういうのが、「あっ、面白いな〜」と思いましたね。ここだけの話ですけどね、僕はあの表情を相当意識してます、というより取り入れています(笑)。 しゃべり方も、あのリズム感っていうか歌うようなっていうか、よく「セリフは歌うように」とか言いますけれども「あ、こういうことか」って。本当にすばらしいですね。 とにかく、古典で人をあれだけ爆笑させる人ってほかにはいないですよ。緻密な計算と的確な描写と、リアリティと、それをちょっと超える想像力みたいなのがすごいですね。 ――先ほど「仔猫」をおやりになったといいましたが、落語をやる時は関西弁で? 香川県の高松出身ですから、最初に覚えた演目は全部上方落語だったんです。でも20年近く標準語で芸能生活やっていますんで、江戸前の方が自然かなって思って。それで今は標準語で落語をやっています。『仔猫』なんかも船場から蔵前に舞台を移しまして。やっぱり自分なりに工夫してちょっと変えようとか、その場で思いついてしゃべろうとなった時に、大阪弁でやるとどうしても不自由を感じてしまうので……。 ――落語家さんと同じ舞台に立つことは相当プレッシャーだったとか。 プレッシャーだらけですよね。僕は全然違う世界の人間じゃないですか。他の落語家のお弟子さん達は厳しい修行をして、笛とか太鼓とかもやって、何年もかけてやっとこさ上がるところを、僕は“横はいり”みたいに上がってますからね。なんかこう「申し訳ないな」っていうのがあって、その分頑張らないといけないと思いますから。 ――南原さんみたいなベテランでも緊張するんですね。 いやぁ、緊張しますよ。特に寄席の時は出番が決まってるじゃないですか。例えば自分のライブだったら、少々押してようが巻こうが、それは自分のさじ加減でいいじゃないですか。でも、寄席には寄席のトータルな流れっていうものがある。僕がやる落語もその中の一コマみたいなもんですから、その役割をしなきゃいけない。それで40分くらいのネタを20分ぐらいに縮めるんですが、それにちょっとマクラを入れたりしようとするともう、いっぱいいっぱいなんですよね。マクラで「早くつかんで早く入りたいのに」とか「うわ?、つかめないうちに入んのかな」とかで焦っちゃって……。 ――ちなみに落語のネタはいくつくらいお持ちですか? 古典では「時うどん」と「代脈」。これは上方のやり方で、あと、今年の7月に開催された「大銀座落語祭」に出るために勉強し直した「仔猫」ですね。それ以外に以前作った新作が三つぐらいあるんですが、それはまだ一回ずつしかかけてないんで……。 ――「時うどん」は関西弁で? いや、「平成時うどん」っていって半分創作みたいなものなんです。前半は普通に「時うどん」を関西弁でやって、後半は現代っていう……落研が舞台の話で。先輩に稽古つけてもらってた後輩が、「こんなふうにできるわけないですよ」って言って、「じゃあちょっとうどん屋行ってやってみろよ」って実際にやってみるっていう話で。 ――なるほど。ところで、11月12日の鶴瓶師匠の一門会(青山円形劇場)で出番があるということですが、そこでは何を? もちろん「仔猫」です。ただいま「仔猫」強化月間ですから(笑)。1年に1回ぐらいしか大きなホールでできないんで、同じネタをどんどんどんどんかけて行こうかと。「仔猫」はおかしくて人情的なとこもあれば、すごく怖いとこもあるし、やっぱ中に出てくる“おなべ”をどう演じるかによって、もうそういったところが大きく変わってくる。この噺はやればやるほど、「いや〜、これは面白いな」って感じるんです。あ、そうそう「仔猫」には、後日談と言うか、続きがあるのって知ってます? ――えっ、本当ですか? 聞いたこと無いですねぇ。 僕、「仔猫」は正蔵師匠に稽古をつけてもらったんですよ。その時、正蔵師匠がおっしゃったんです、「この噺には続きがあるんです」と。で、聞いてみたら、「実はこの後、旦那さんが騙されて店を乗っ取られそうになるんですが、それをおなべが救うっていう話なんです」って。でも師匠も、それはまだ掘り起こしてないらしいんですけれどもね。 ――その後日談はいいですね! でしょ。いつかやってみたいですね! プロフィール
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