だれもが知っている正義の味方が帰ってきた。生まれ故郷クリプトン星の存亡をその目で確かめる旅を終え、育ての親の待つ米・カンザスの農場へ、メトロポリスへ、そして銀幕へ。
スーパーマンと、さえない新聞記者クラーク・ケントの2役を演じるのは、身長190センチのがっちりした体つきで、原作の設定に近い肉体の持ち主だ。テレビに何作か出演しただけの、無名に近い存在だが、それが「無色」の俳優を捜していたブライアン・シンガー監督の目にとまった。
外見のほか、シンガー監督が見込んだのは内面の共通点だ。出身地はスーパーマンのカンザス州と同じ中西部にあるアイオワ州。「のんびりした農村地帯で、みんな隣人に優しく、肩の力を抜いて暮らしている。スローライフかな」と、本人は土地の気質を語る。
多くの人は04年10月に亡くなったクリストファー・リーブのスーパーマンを記憶している。「監督と話し合って、リーブのイメージをあえて残そうという結論になった。ただし、コピーではない。彼のエネルギーやカリスマ性など、見えないものを採り入れた」と言う。
違いもある。新作では、昔の恋人ロイスには息子がいて、婚約者と3人で住んでおり、事情は複雑だ。「ロイスと対する時など、感情を顔に出した。こんな人間的なスーパーマンは過去にいなかったと思う」
リーブが主役で人気を集めた映画「スーパーマン」が日本で公開された79年の生まれ。ほかの子どもと同じように、スーパーマンのパジャマを着て走り回った。「いろんな所から飛び降りては、空を飛んでいるつもりになって遊んだよ」と笑う。
劇中では5年ぶりに地球に戻った設定だが、リーブが最後に演じた「スーパーマン4/最強の敵」(シドニー・J・フューリー監督、87年)からは約20年がたつ。勤務先のデイリー・プラネット社の机にはタイプライターに代わってパソコン。世界情勢の変動で、米国だけでなくアジアや欧州にも出没する世界のヒーローとして描かれる。
抜擢(ばってき)は飛躍のチャンスである半面、役柄のイメージが固定して苦しむ俳優も多い。
「僕にとっての大ヒーローを演じて、新世代の子どもだけでなく、昔の子どもに見てもらうことは、とても誇らしい気持ちです。演じたい役もたくさんある」。自信にあふれていた。
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Brandon Routh 79年、米アイオワ州デモイン生まれ。高校時代に水泳とサッカーに励み、演劇活動も始めた。大学を中退してハリウッドへ。