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2005年6月10日更新
アン・サリー『ブラン・ニュー・オリンズ』
思い出の名演との再会も、未知のジャズマンとの巡り合いも、ジャズを聴く楽しみの一つ。ビッグ・バンドの熱狂も、ハード・バップのクールネスも、そして同時代ジャズの躍動も、まとめてあなたのライブラリーに。
彼女にとって3年ぶり5枚目となるこのアルバムは、ジャズ発祥の地、ニュー・オリンズ録音の初セルフ・プロデュース作品だ。現地で出会った名手たちの熟練の演奏による、ご当地ゆかりのトラディショナルなナンバー中心の選曲となっており、アン・サリーのしなやかな歌唱と抜群の相性を示したことが確認できる好盤。服部良一、西岡恭蔵作曲による2曲の日本語ナンバーが程よいアクセントとなっている。
グラミーを受賞した2002年のファースト・アルバム。名門「ブルーノート」に見出された当時弱冠22歳の歌姫は、ジャズの枠を越え、これ以上ない程のデビューを飾った。恐らく21世紀のスタンダード・ナンバーとなるであろう冒頭の「ドント・ノー・ホワイ」を始め、彼女のややハスキーな歌声が紡ぐ、ジャズ、R&B、カントリーなど、米国音楽の良質なエッセンスを素直に咀嚼した佳曲の数々は、聴く人を選ばない間口の広さを備えている。
「ラプソディー・イン・ブルー」などが有名な作曲家、ガーシュウィン生誕100年を記念して発表された1998年作品。スティーヴィー・ワンダーをはじめ、ジョニ・ミッチェル、ウェイン・ショーターやチック・コリアといった豪華ゲストが参加。30年以上の活動を通じ、ジャズと他ジャンルを統合する音楽を作り続けたハンコックが、ここではジャズとクラシックを融合させたガーシュウィンと己を重ね合わせている。自身のキャリアを総括するような内容が感動的。
タイトル通り、マイルス・デイヴィスの音世界を旅することをテーマに、当代随一のジャズ・シンガーが1999年に発表した作品。マイルスのオリジナル曲から、彼が好んで演奏した楽曲まで、その魂を追体験するかのような彼女のダークなムードを湛えた歌唱は鳥肌モノ。C・ローパーの「タイム・アフター・タイム」も、もはやポップソングには聴こえない。パット・メセニーやマイルスのバンド・メンバーだったデイヴ・ホランドも参加。
エヴァンスがスコット・ラファロ、ポール・モチアンとトリオを組んでいた時期の作品はいずれも人気だが、その中でも、彼が生涯好んだレパートリーの名演が数多く収録されたこの作品は代表作と言える。エヴァンス独特の、切れ目なく流れるメロディック・ラインが存分に味わえる。そして、時にはピアノを立て、時には強く存在感を主張するラファロ、モチアンの演奏も見事。掛け合いの妙をこれほど楽しめる作品は他にあまりないのでは。1959年録音。
マイナー調の名曲「クレオパトラの夢」を含む、ビ・バップの巨人による1958年録音の作品。鬼気迫る初期の演奏とは違った枯れた味わいで、バドのユニークなオリジナル曲がトリオ形式で楽しめる。
モダン・ジャズにおける“スイング”を体感するには、冒頭の「C・ジャム・ブルース」が最適。マイルス・デイビス・クインテットでも活躍した彼のスインギーなピアノが楽しめる、50年代ハード・バップの傑作の一つ。
「ボス・ギター」のウェス・モンゴメリーがビートルズ・ナンバーなどの有名曲を取り上げた1967年の作品。ドン・セベスキーによる、弦を配置した美しいアレンジをバックに、アドリブより歌心を重視したウェスの演奏はさすが。
若き天才トランペッター、リー・モーガンが弱冠19歳で吹き込んだ1958年のアルバム。マイルスやクリフォード・ブラウンのような重さはないが、はつらつとして小気味良い彼の演奏の美点が余すところなく出た名盤。
1975年、ケルンのオペラ劇場にて録音された、異能のピアニストによる完全即興によるソロ演奏。即興とは思えない展開の妙と美しいメロディー。ジャズでもクラシックでもない、全身音楽家の記録。
ブルーノートに請われたコルトレーンが1957年同レーベルに唯一残したアルバムは、彼のキャリアの中でも屈指の傑作となった。彼にしては珍しい3管編成のバンドが文字通り効を奏し、サイドメンの演奏も文句なし。
レイ・ブラウン、エド・シグペンを従えたオスカー・ピーターソン・トリオは、ピアノ・トリオの一つの理想形。数多い彼の名作の中でも、スタンダードからボサ・ノヴァまで取り上げた本盤は1、2を争う人気盤だ。
1957年、当時脂の乗り切ったマイルス・デイヴィス・グループのリズム隊に、こちらも絶頂期にあったペッパーが単身参加して出来上がった名作。リラックスした音の中に緊張感が覗く瞬間がスリリング。音質の良さも特筆もの。
大西順子のピアノ・タッチは、パワフルで明快だ。しかも強烈なスイング感がある。理屈無用の“カッコよさ”がその音にある。ここ数年活動が途絶えているのが実に惜しいが、この1993年のデビュー作を聴きつつ復活を待ちたい。
デューク・エリントンの名曲の数々をデジタル・リマスタリングの上まとめた好編集盤。ジャズだけでなく、20世紀の米国音楽市場に燦然と輝く彼の偉大さの一端を知るには、まずこれを手がかりに始めたい。
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