フランスから初来日公演するジル・アパップは異色のバイオリニストだ。クラシック畑の演奏家ながら、民謡など、民衆の息吹を感じさせる音楽との融合を試みる。ステージ上での振る舞いも驚きに満ちている。
重々しいバッハの調べが突然、アイルランド民謡に変わる。ステージ中央のアパップはというと、足踏みでリズムをとりながらバイオリンを演奏。オーケストラの弦楽器奏者たちも弓を置き、指弾きでリズミカルに奏でる。
5月にフランス・パリであったオーケストラとの公演で、アパップは楽団員の間を縫うように歩き回り、途中で曲を止め、歌や口笛も交えた。
なぜこういうスタイルになるのかと問うと、「なぜやってはいけないの」。いたずらっ子のように「歌い、口笛を吹くのは自然なこと」と続けた。
クラシック演奏の王道を歩んでいたが、約20年前に米国に移り住んでから、徐々に変わり出した。米国のスクエアダンスやスイングジャズ、アイルランドやインドなどの様々な音楽に親しみ、世界を旅して回った。
「クラシックと民族音楽は、二つの大好きな世界だ。全く違うように思われるかもしれないが、互いが互いを必要としている。モーツァルトやバルトークをはじめ、民族音楽にインスピレーションを得た作曲家はたくさんいるでしょう」
最初は、舞台でブーイングを浴びることもあったという。「民族音楽は自然に心から出るという側面が強い。クラシックもそういう面を持ってもいいのでは。独奏者にはカデンツァの権利もあるしね」
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22日午後2時から、東京・武蔵野市民文化会館で、アコーディオンやツィンバロンなど4人で「四季」ほか。27日午後7時から、東京・紀尾井ホールで、クラリネット奏者亀井良信らとモーツァルトを共演。問い合わせはいずれも電話03・5465・1233(アリオンチケットセンター)。