ピアニストの山下洋輔がアルバム「ミスティック・レイヤー」の発売を記念し、今月下旬から全国ツアーを行う。ベースのセシル・マクビー、ドラムスのフェローン・アクラフと「ニューヨーク・トリオ」を結成してからでも18年。ツアーは山下音楽の歩みを振り返る構成だ。
ユニバーサルミュージックからのアルバム「ミスティック・レイヤー」の発売はこの2月。ツアーまで間があいたのはパリ公演などが挟まったためだ。パリでは6月15日から20日まで「日本のジャズ」と題したコンサートで、コンセルバトワールのジャズ科の学生ビッグバンドと共演した。
たまたま見たジャズ科の卒業のための実技試験に、山下は大きな刺激を受けた。「現代音楽の作曲家たちがたまたまジャズを使って表現をしているという雰囲気だった。セシル・テイラー風からドビュッシー風、前衛ノイズ音楽まで実に多彩。フランスのジャズを生みだそうという意欲もあふれていた」
山下のジャズ観も影響を受けた。これまで欧州の現代ジャズを目指しながら80年代にはルーツを求めてニューヨークのクラブに定期的に出演。さらに和太鼓の林英哲や韓国のサムルノリら、アジアのミュージシャンとの共演も続け、自分の世界を広げてきた。
「今回パリに行ったことで、ニューヨーク、パリ、東京の3点観測によって自分を発見する立場にようやく気づいた」と語る。
アルバム「ミスティック・レイヤー」は、アフリカのリズムからニューオーリンズ、フリージャズ、スタンダード……という山下のジャズの幅の広さを見渡せる内容だ。
夏のツアーでも、サックスの川嶋哲郎を加えてアルバムの世界を再現する。皮切りの東京・渋谷のオーチャードホール公演ではニューヨークをテーマに、エリック宮城や西村浩二、木幡光邦らのビッグバンドでガーシュインやエリントンの作品を取り上げる。ニューヨークで「ビリー・ホリデイの再来」と評判のレディ・キムをゲストに迎える。
オーチャードホール公演は21、22両日午後7時からで、6000円、5000円。電話03・3477・9999(Bunkamuraチケットセンター)。以後のツアーは25日の青森県階上町から8月6日、京都・円山公園野外音楽堂までで、問い合わせは電話03・3478・0331(ジャムライス)へ。