ハワイの人気歌手ケアリイ・レイシェルのベストアルバム「カマヒヴァ」が日本で発売された。ハワイ語などの伝統文化を前面に出しながら、現代的な味付けをほどこす活動を続けて10余年。アルバムは2枚組で、ポップで親しみやすい一面と、伝統的なチャント(詠唱)のスタイルを1枚ずつに振り分けた。「過去と現在をつなぎたい」とレイシェルは語る。8月には、近年恒例になった夏の来日公演もある。
米国統治下のハワイでは、ハワイ語の禁止など、固有の文化が迫害された時期があった。博物館勤めから歌手に転身したレイシェルは、ハワイ舞踊のフラも教え、音楽で文化の復興を訴えてきた。
母の家系がハワイ人。子どものころはハワイ語も知らなかったが、10代でチャントに出合った。神々や自然への祈りの色彩が濃いともいわれるチャント。「祖先からの記憶を本能的にたどっていった」と言う。
「チャントの詞から、過去が垣間見える。今のハワイ人はほとんどアメリカ人になっている。チャントを介してハワイ的な見方を学ぶレッスンができ、もっとハワイアンになることを学べるんだ」
70年代ごろから、ハワイ独自の文化の復興が始まったという。「抑圧された、という被害者意識を持ちながらの運動ではだめだ。自分たちのルーツに忠実であろうと努めている」
ハワイ音楽が歌うのは、家族など身近な人への愛や郷土への誇り。レイシェルも、美しいハワイの情景を詠み込む。チャントでは打楽器に乗せて荘厳に、「歌もの」は、さわやかな旋律で親しみやすく、歌いあげる。
アルバムには、日本のビギンの「涙そうそう」のカバーを収録。日本で偶然耳にして「伝統と現代がミックスされた楽曲」のとりこになったそうだ。昨年には沖縄のイベントで共演した。島で生きる者同士の親近感を覚えた、と語る。
00年から恒例の東京・日比谷野外音楽堂での公演は8月19日。前日の18日には神奈川県民ホールでも。