
首席(筆頭)家老桑山又左衛門に、旧友の野瀬市之丞から果たし状が届いた。又左衛門はかつて上村家の部屋住みで隼太と名乗っていたが、そこから、今の地位に異例の出世を遂げた。一方、同じ境遇だった市之丞は今なお実家に寄食している「厄介叔父」だ。又左衛門はかつての自分や仲間たちに思いを馳せる。
隼太と市之丞は、片貝道場の同門で、それに杉山鹿之助と寺田一蔵、三矢庄六を合わせた5人はほぼ同じ時期に入門した仲間だった。1000石の上士の跡取りである鹿之助以外は、さほどに身分も高くない家の次三男である。早く良い婿入り先を見つけて厄介叔父への道を断ちたい4人は、大きな関心事である婿入りについて頻繁に語り合っていた。