
神名平四郎、24歳、知行1000石の旗本の子弟。――といっても死んだ父親が晩年に台所女中に産ませたという妾腹の子であるため、生家ではとことん冷遇されている。嫂の里尾だけが心にかけてくれるが、実家の居心地は悪い。道場で知りあった明石半太夫から、友人の北見十蔵と3人で町道場を開かないかという話を持ちかけられ、嬉々として実家を飛び出す。
ところが、その明石が、道場を開くために平四郎と北見が出資した金を持ち逃げしてしまった。たちまち日々の生計に窮して途方に暮れる平四郎だが、北見の言葉にハタとひらめく。世の中には、自分たちのようにいろいろな揉めごとで悩んでいる人がいるに違いない。持ち前の弁舌とはったりを活かして、揉めごとを仲裁して口銭を稼ごう、と。